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【質問】 異常に濃いうぶ毛に悩む

 30歳の女性です。体毛が異常に濃くて悩んでいます。すねの毛はもちろん、乳輪の周りにも生えています。一番ひどいのは顔のうぶ毛です。あごには男の人と同じ太さの毛が3本も生えています。処理していればいいと思うのですが、それでは根本的な悩みの解消にはなりません。何科にかかればよいのでしょうか。



【答え】 体毛コンプレックス -性ホルモン異常の可能性も-

徳島皮フ科クリニック 院長 玉田 伸二(徳島市川内町加賀須野)

 体毛に対する悩みは、ご主人や恋人を含むご家族や友人に本当に理解していただけることは少なく、一人で悩まれている方が多いです。相談しても、「ぜいたくな悩み」「剃(そ)ればよいだけ」などと言われたという話を耳にすることもあります。

 でも、ご本人にすれば切実な悩みであり、そのことを理由に恋愛や結婚をちゅうちょしている場合もあり、私たち皮膚科専門医が丁寧に対応すべき問題だと思います。もちろん、脱毛術に一番詳しいのは皮膚科専門医ですので、日本皮膚科学会の専門医に相談されるのが一番良いと思います。その中でも、特に脱毛術に詳しい医師は日本医学脱毛学会に所属しています。

 ちなみに、私が脱毛術の研究を始めてから20年になります。前半10年は絶縁針電気脱毛術、後半10年はレーザー脱毛術を行っています。自画自賛ですが、各種の脱毛用レーザーで毛包のどの部分が破壊され、どうして永久脱毛につながるのかをはじめて組織学的に解明したのは私と東京女子医大形成外科の若松信吾教授の共同研究です。

 さて、絶縁針電気脱毛術、レーザー脱毛術それぞれ、以下のような良い点と悪い点があります。

 絶縁針電気脱毛術は、皮膚表面を焼かないように工夫された細い針を毛穴に入れて1本ずつ処理します。太い毛、細い毛にかかわらず確実性が高いですが、多数の本数を処理するには時間がかかります。

 レーザー脱毛術は、毛や毛包のメラニンをターゲットにした波長を発する脱毛用レーザーを照射することによって、永久脱毛が可能です。スピーディーに処理できるのが良い点ですが、メラニンの少ない産毛には効果が弱く、乳輪部のように色素が多い場所ではやけどを発生させる可能性があります。

 以上のことを考慮すると、あなたの場合は、乳輪近くとあごは絶縁針脱毛術、すねはレーザー脱毛術が良いと思います。

 なお、女性で毛が濃い方、特にあなたのようにあごに太い毛が生える場合は、ホルモンバランスが崩れている可能性があります。通常のホルモンの血液検査や卵巣のエコーで異常がなくても、1日ためた尿の中に排出される性ホルモンの代謝産物を測定することで異常が見つかる場合があります。(ちなみに、このことを発見したのは徳島逓信病院院長の斎藤晴比古先生です)

 見栄えだけでなく、健康のためにもぜひ一度検査を受けることをお勧めいたします。医療従事者向けに書いた本で少し難しい部分もありますが、拙著「医学脱毛-永久脱毛術の基礎から最新治療まで-」(金芳堂)を、インターネットが使える環境なら下記などを参考にしてください。http://igaku-datumou.jp/index.htmlあるいはhttp://www.tdc21.com/scc_html/

 この相談コーナーに投書したことがきっかけとなり、体毛の濃さコンプレックスがなくなり、あなたが積極的に人生を楽しめられるようになることを祈っています。

徳島新聞2006年7月23日号より転載

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