徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

【質問】 尿の回数少なく残尿感も

 66歳の主婦です。膀胱炎(ぼうこうえん)になりやすくて困っています。毎年1回は必ずなります。薬を飲んだら3~5日くらいで治りますが、発症の間隔はだんだん短くなっています。水はたくさん飲むほうですが、その割には、尿の回数は少ないように思います。不快な残尿感もあります。また高血圧の薬を長年服用しています。肥満体で、寒さはほとんど感じませんが、足だけが冷たくなります。これらが何か影響しているのでしょうか。治療によっては完治するでしょうか。どんなことに気を付ければいいでしょうか。



【答え】 非細菌性膀胱炎 -生活習慣見直し誘因除く-

住友医院泌尿器科 桜井 紀嗣(徳島市勝占町下河原)

 膀胱炎の症状は<1>排尿するときや排尿の終わりごろに痛い(排尿痛・終末時排尿痛)<2>排尿の後が気持ち悪い(排尿後不快感)<3>尿の回数が多い、すぐに尿をしたくなる(頻尿)<4>尿が残っている感じがする(残尿感)<5>尿に血が混じる(血尿)-などがあります。

 膀胱炎では、排尿痛や終末時排尿痛になることが多いのですが、不快感や残尿感が主だった症状で、痛みがあまりなかった人も大勢いるのではないでしょうか。

 このように、膀胱炎には、大きく分けて2つのタイプがあります。

 一つめ、膀胱の中にばい菌(厳密には細菌)が付いて(本当は増えて)、炎症を起こしているタイプです。これを細菌性膀胱炎といいます。膀胱の中がばい菌で荒れているため、尿の終わりごろにギューッとする痛みを感じます。また、顕微鏡で見ると尿の中に白血球(膿(うみ))や細菌が混じっています。

 二つめは、膀胱の中にばい菌が付いていないのに膀胱炎の症状があるタイプです。非細菌性の膀胱炎といいます。痛みは少なく不快感や残尿感が主な症状で、尿中には白血球はみられません。

 ただ採尿方法によって検尿結果が異なることがあります。尿の採り方を医師によく尋ねてください。

 質問は、非細菌性の膀胱炎と思います。非細菌性膀胱炎は、ばい菌が付いていないにもかかわらず不快感、頻尿、残尿感、中には軽度の排尿痛や尿が出にくいなどの症状のみが前面に出てきている状態です。

 原因はさまざまで、年齢や更年期などによる膀胱の異常、膀胱周囲組織や臓器の異常、自律神経や排尿の神経の異常などがあります。時には精神的または習慣的なことが原因であることもあります。誘因として、ストレス、睡眠不足、過労、体調不良、冷え、気候、便秘、血行障害、排尿習慣、仕事などが挙げられています。

 このように、非細菌性膀胱炎は、体調や生活習慣などによるところも大きいため、治りきらないことや、再発することが多くなります。

 そのため、質問のように再発を繰り返すようであれば、誘因となることを改めるよう生活習慣を見直してみてください。その上で、掛かりつけ医にゆっくりと話を聞いてもらい、必要であれば泌尿器科医を紹介してもらってください。

 また、質問には膀胱の症状のほかに、高血圧、肥満、自律神経失調と思われる症状も書かれています。それぞれの病気、病態を単独でみるのでなく、総合的に相談することが必要かもしれません。最近、大きな病院には「女性総合外来」が開設されつつあります。一度、相談してみてください。

徳島新聞2003年10月12日号より転載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.