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【質問】 娘の肛門にひだのようなものが

 3歳の娘のことで相談します。肛門(こうもん)のところに、ひだのようなものが一つあります。生まれたときはなかったのですが、1歳ごろから少しずつ目立ってきました。便秘がちなので、それが原因でできたのでしょうか。硬い便をしたときは、「お尻が痛い」というときもあります。同じ症状を持つ子どもの話は、聞いたことがないのでとても心配です。



【答え】 肛門垂 -基本的には自然に消滅-

麻野皮膚科 麻野 誠一郎(名西郡石井町石井)

 かわいい娘さんのお尻に何か見慣れないものができているということで、さぞ心配なことでしょう。こういうときに気軽に相談できる医者を見つけておくのも良いことです。仮にその医者が専門外であったとしても、どうすればよいか、どの医者にかかればよいかというようなアドバイスを受けられると思います。

 さて本題ですが、乳幼児の肛門部にみられる形の異常には、肛門周囲膿瘍(のうよう)、肛門垂、痔核(じかく)、肛門裂傷、直腸ポリープ、肛門奇形、直腸脱などがあります。

 質問を読む限り、娘さんの病変は肛門垂ではないかと思われますので、それについて説明します。

 肛門垂は肛門部の12時方向(おなかを上にして上方)に見られる舌の先端、もしくはピラミッド状の表面が滑らかな突起で、色は紅色あるいは淡紅色です。生まれてまもなくから、2歳くらいまでに発症します。男児には少なく、女児に多いのが特徴です。軽いものを含めると、そう珍しいものではないと思います。

 肛門垂がなぜ発生するか、なぜ12時の位置に生じるか、なぜ女児に多いかについては、それなりの考えがあるようですが、私が良く分かっていない部分もあるので、ここでは省略します。ただ、排便時の清拭(せいしき)や固い便による刺激が加わると大きくなると考えられています。

 基本的にはいずれ小さくなったり、消えてしまったりすることが多いので、心配することはありませんが、刺激や細菌感染によって炎症を起こしたときは腫れて痛くなりますので、治療をした方がよいでしょう。

 日常生活では、お尻をふくときは優しくしてください。なお、念のためお近くの皮膚科か小児科を受診して、肛門垂であることを確認しておいた方がよいでしょう。

 肛門垂という呼称のほかにも、小児肛囲ピラミッド様突起、肛門部ポリープ様突起、肛門皺襞(しゅうへき)、尖兵(せんぺい)ポリープなどの言葉がありますが、どれも同じものと考えてよいでしょう。

徳島新聞2002年6月2日号より転載

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