【質問】 両まぶたが垂れる
60代後半の女性です。最近、両まぶたが腫(は)れぼったく垂れたような感じで、物を見るのに違和感があります。何度か眼科を受診しましたが、原因、病名、治療方針がはっきりしません。内科的な病気はないようなので、むくみとは違うと思います。「眼瞼(がんけん)下垂」という病名を聞いたことがあるのですが、もしそうならどんな治療をするのでしょうか。なお、目の既往症として黄斑円孔(おうはんえんこう)があり、片眼だけ手術を受けましたが、視力はかなり低下しています。
【答え】 老人性眼瞼皮膚弛緩・眼瞼下垂 -軽度なら治療の必要なし-
板東眼科 院長 板東 康晴(板野郡土成町水田)
まぶたが上がりにくくなる原因(大人) 1 まぶたの皮膚のみがたるむ・老人性眼瞼皮膚弛緩 2 まぶたを上げる筋肉の作用が弱くなる ・老人性眼瞼下垂 ・内眼手術後眼瞼下垂 ・コンタクトレンズ眼瞼下垂 ・外傷性眼瞼下垂 ・外眼筋ミオパチー ・重症筋無力症 ・ホルネル症候群 ・動眼神経マヒ 3 まぶたが腫れた重みで下がる ・アレルギーや炎症などによる腫れ ・心不全や腎(じん)疾患によるむくみ ・はっきりした原因ない 4 額の筋肉の力が弱くなる ・眉毛下垂(顔面神経マヒ) 5 まぶたを閉じる筋肉に力が入りすぎる ・眼瞼けいれん 6 その他 ・慢性結膜炎 ・眼窩腫瘍(がんかしゅよう) ・甲状腺(せん)疾患 |
ご質問の文面からは以下の可能性が考えられます。
<1>老人性眼瞼皮膚弛緩(しかん)。これは上まぶたの皮膚のみが、年齢的な変化によってたるんで下がってくる状態です。まぶたを上げる筋肉の力は正常ですので、瞼縁(まつげの生え際あたり)はほぼ正常に上がるのですが、その前方に余分な皮膚がひさしのように垂れてきて邪魔になります。
年齢とともに、多少ともこの状態になる方は多いのですが、軽い場合は特に治療する必要はありません。よほどひどい場合は手術で余分の皮膚を切除します。比較的簡単な手術です。
<2>老人性の眼瞼下垂。まぶたを上げる筋肉が年齢的な変化で緩んできて、瞼縁そのものが上がりにくくなります。近年、高齢化とともに増える傾向にあります。軽度(額の筋肉でまゆ毛をちょっと引き上げると支障ない程度)なら治療の必要はありません。
症状のひどい場合は、手術でまぶたを上げる筋肉を縫い縮め、上がりやすくします。<1>と<2>が種々の割合で合併している場合もあります。
<3>「まぶたがは腫れぼったく…」とのことですので、まぶたの腫れが少しあり、その重みでまぶたが下がっている可能性も考えられます。まぶたの皮膚は薄くて柔らかいので、ごく軽い原因でも腫れ(水分が増える)やすい場所です。まぶたの炎症や全身疾患などのはっきりした原因がなくても、まぶたの腫れがしばらく続くことがあります。この場合は数週間から数カ月で自然に腫れがひくことが多いようです。
<4>頻度は少ないのですが、甲状腺の病気で、内科的な自覚症状がほとんどなくても「まぶたが腫れぼったく垂れた感じ」になる場合があります。甲状腺ホルモン関連の血液検査で明らかになります。
<5>眼球の手術をきっかけに、まぶたが上がりにくくなることがありますが、そうなるのは手術を受けた側の目だけです。あなたの場合、手術を受けられたのは片眼のみですので、両眼のまぶたが上がりにくい原因には当てはまらないと思います。
<6>まれな場合として、重症筋無力症や外眼筋ミオパチーなど、神経・筋疾患専門の内科の先生による診察が必要な場合もあります。
あなたの場合、眼科での診察を受けていらっしゃいますので、恐らく<1>または<2>の状態で比較的軽度ではないかと推測されます。詳しくは眼科の主治医の先生とご相談を。
<3>「まぶたがは腫れぼったく…」とのことですので、まぶたの腫れが少しあり、その重みでまぶたが下がっている可能性も考えられます。まぶたの皮膚は薄くて柔らかいので、ごく軽い原因でも腫れ(水分が増える)やすい場所です。まぶたの炎症や全身疾患などのはっきりした原因がなくても、まぶたの腫れがしばらく続くことがあります。この場合は数週間から数カ月で自然に腫れがひくことが多いようです。
<4>頻度は少ないのですが、甲状腺の病気で、内科的な自覚症状がほとんどなくても「まぶたが腫れぼったく垂れた感じ」になる場合があります。甲状腺ホルモン関連の血液検査で明らかになります。
<5>眼球の手術をきっかけに、まぶたが上がりにくくなることがありますが、そうなるのは手術を受けた側の目だけです。あなたの場合、手術を受けられたのは片眼のみですので、両眼のまぶたが上がりにくい原因には当てはまらないと思います。
<6>まれな場合として、重症筋無力症や外眼筋ミオパチーなど、神経・筋疾患専門の内科の先生による診察が必要な場合もあります。
あなたの場合、眼科での診察を受けていらっしゃいますので、恐らく<1>または<2>の状態で比較的軽度ではないかと推測されます。詳しくは眼科の主治医の先生とご相談を。
徳島新聞2001年5月6日号より転載