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【質問】 首全体に小さいイボが

 60歳になる女性です。老人性イボというそうですが、目の下や胸、特に首全体に小さいイボができてざらざらします。大きければ電気で焼くそうですが、治療法はありませんか。毎日気になります。



【答え】 老人性疣贅 -早めに組織検査を-

徳島県立中央病院 皮膚科部長 山本 忠利

 ご質問のイボはまさしく老人性のイボと思われます。このイボは老人性疣贅(脂漏性角化腫(しろうせいかっかしゅ))と呼ばれています。もう一つ考えられるのはスキンタッグ(糸状線維腫)と呼ばれるイボです。いずれも皮膚の老化現象とみなされています。

 30~40代からでき始め、年をとるにつれて増えてきます。60代では8割の人に、80代だとすべての人に存在します。

 スキンタッグも同じようにできますが、胸部や腹部、背腰部に急速に増えてきたときは、胃腸などの内臓に悪性のできものが認められることがあります。

 治療は場所や大きさ、形、イボの性質によって、電気で焼き切る、液体窒素で凍らせて取る、直接切除する、皮膚グラインダーで削る、レーザーで切除する、手術で広範囲に切除する などの方法があります。

 俗にイボには、多くの種類や形状があり、前述の老人性のもののほかにも、ホクロやアザ状のもの、悪性腫瘍(しゅよう)も含まれます。

 若い人に発生するイボは、ほとんどが皮膚へのウイルス感染が原因です。手や指の背部によくみられる尋常性疣贅、足の裏にできてウオノメ、タコによく似た足蹠(そくせき)疣贅、「ネズミの手」といわれる糸状疣贅、青年の顔にできる扁平(へんぺい)疣贅、性行為などで移り、外陰部や肛門(こうもん)周囲に発症する花キャベツ状の尖圭(せんけい)コンジローム、幼少で特に乾燥肌の子供に多い伝染性軟属腫(水イボ)があり、これはタオルやプールのビート板などを介して感染します。

 老人性のイボは、前述した良性の老人性疣贅、スキンタッグのほかに、悪性化するイボも少なくありません。この中で日光角化症は、日光によく当たる顔面や手の背部などにできる褐色の扁平イボで、がん化することの多いイボです。次に多いのは基底細胞上皮腫で、顔に多く発生し褐色または黒色をしています。ときにはただれ、潰瘍(かいよう)状に変化します。もっと悪性なものが有棘(ゆうきょく)細胞がんで、リンパ節などに転移します。

 また、シミ状で黒く、出血したり急激に大きくなったりする悪性黒色腫もあります。これはリンパ節や内臓に転移することが多いイボです。毛のうや脂腺(せん)、汗腺などにできる、良性または悪性のイボもあります。

 このように老人のイボには、悪性のものも含まれますので、イボを見つけたら早めに皮膚科、形成外科を受診し、組織検査をされるのが良いでしょう。

徳島新聞2000年12月24日号より転載

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