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県民の皆さまへ

【質問】 出べそを治す方法は・・・

 20歳の女性です。5ミリほどの出べそで悩んでいます。何か治す方法はないものでしょうか。へそ出しルックなどは夢の夢、結婚にも踏み切れません。



【答え】 へそのヘルニア -手術後2~3日で退院-

徳島市民病院 主任外科医長 福本 常雄

 へその部分の小さな膨らみは、へそのヘルニア「臍(さい)ヘルニア」と思われます。

 まず、どうしてへそのヘルニアが起きるのかについて説明します。胎児は子宮の中で、臍帯と胎盤でつながっています。出生時に臍帯を切りますと、約一週間でへその緒となって脱落します。その間にへそは強い結合組織により出口が閉じられます。小児のへそのヘルニアは、この閉じ方が不完全であったため起きます。

 一方、中年以降の方にもへそのヘルニアが見られますが、この場合はへその弱い部分が膨らんでできたものです。

 症状としては、へその膨らみ、痛み、違和感などがあります。新生児期には、泣いて力んで腹圧が強くなると、大人の親指ぐらいまで突出してきますが、泣きやむと膨らみは小さくなり、指で押さえるとヘルニアの出口を触ることができます。

 中年以後のへそのヘルニアは出口も大きく、へその膨らみも大きくなり、ヘルニアの中に腸管やおなかの中の脂肪が出て、戻らなくなることがあります。ヘルニアの「かんとん(押さえても元に戻らない)」状態となり、急いで手術する場合も少なくありません。

 小児期では、へその膨らみが大きくても経過を見ているだけで、1歳までに8割、2歳までに9割が自然に治ります。一般的に3歳を超えると自然治ゆが期待できないので、両親の希望で手術することがあります。また、中年以後はへその膨らみが大きいことや膨らみが戻らず、痛みも伴うために手術します。

 手術は全身麻酔で、ヘルニアによる膨らみをなくすようにします。それにはヘルニアをつくる袋状の腹膜を閉じた後、ヘルニアの出口を閉じます。また大きな膨らみの場合は大きな傷が残りますが、小さな場合はへその中のシワに隠すようにします。

 さて、お尋ねでは、大きさが5ミリぐらいの膨らみですし、年齢が若いことを考えますと、小児期のヘルニアが治らず、へその膨らみが残ったのでしょう。膨らみが小さいので、かんとん状態や痛みを生じることは少ないと思われます。

 へその膨らみによる美容上のお悩みですので、お友達と同じようなへそ出しルックなどの水着を着るためには、手術をお勧めします。先にも述べましたが、へそのヘルニアの根治術を行います。

 あなたの悩みを解消するためには、小さくて、かつ、ほとんど目立たない傷で行うことが必要です。そのため、へその形やシワを見て、どのように皮膚に傷をつけたらよいのかを考えたり、皮膚も目立たないように縫い合わせたりする必要があります。手術後2~3日で退院できると思います。また、最近ではメッシュを使用した手術方法や日帰りの手術も行っています。

 一度、近くの病院の外科を受診されて相談された方がいいでしょう。

徳島新聞2000年10月15日号より転載

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