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【質問】 5歳の娘のせきが止まらない

 5歳の娘のせきが止まりません。昨年4月、幼稚園に通い始めたころから続いています。24時間せきっ放しで、食事がとれず、せきと一緒におう吐したり、目元がはれたりで、かわいそうなほどぐったりしています。血液検査ではアレルギー値が高く、ネコやハウスダスト、ダニに高く反応し、医師にはぜんそく予備軍といわれています。しかし、激しいせきにもかかわらず、胸の音は異常なく、ゼーゼーという音もないそうです。鼻水、熱もありません。気管支がかなり過敏になっているので、少しのアレルゲンでも反応して、せきが出ると説明を受けてます。どうしたら楽にしてやれるのでしょうか。きちんと精密検査をうけた方がよいのでしょうか。



【答え】 気管支ぜんそく -根強い治療が必要-

岸医院 院長 岸 彰(阿南市富岡町トノ町)

 5歳の娘さんが激しいせきに悩まされているとのご相談ですが、このまま放置しておくと、体力の消耗や栄養・睡眠障害が心配されます。このような状態が長引けば、発育に悪影響がおよぶことも考えられますから、早く楽な状態にしてあげる必要があります。

 せきの原因を診断したり、治療する上で大切なことは、たんなどが絡んだ湿ったせきか、乾いたせきかを見極めることです。しかし、幼児ではたんが分泌されても激しいせきですぐ気管から除かれたり、飲み込んでしまったりするので、どちらのタイプか判断に迷うことがあります。

 そこで、せきの出方にかかわりなく、幼児に見られる長引くせきの原因と治療について述べてみます。

【気管支ぜんそく】

 娘さんの症状は、典型例ではありませんが、気管支ぜんそくの初期にはせきが主症状のタイプもあります。血液検査でアレルギー反応が陽性であることから、娘さんのかかりつけ医もご指摘のように、気管支ぜんそくが最も考えられます。

 最近の研究では、ぜんそくの発作は気管支の炎症反応で引き起こされ、一度発作が起こると、この気管支の炎症状態が数カ月続く人もいます。このため、発作が治まりかけても、ほこりや冷たい空気を吸うなどのわずかな刺激でも再発しやすいものです。この悪循環を断ち切るためには、発作を治める治療と、発作を起こさないための治療を根気強く続けることが大切です。また娘さんには、ダニやネコの毛に対する過敏症もあるようですから、室内の清掃などの環境整備も必要です。

【気管支への異物混入】

 この病気は、気管支内に食べ物などの異物が入ったときに、突発的に起こるのが特徴です。異物が気管に入った直後から数分間は激しくせきますが、次第に軽くなります。そして、数日後から再び湿ったせきが出るようになります。

 このため発病時の状況が分からない場合は、ぜんそくや肺炎と診断され、異物が入ったまま長期間見過ごされることもあるので、一度は気管支への異物混入を疑って検査を受けてください。

【百日ぜき】

 乾いたせきと、その後のレプリーゼといわれるヒューヒューという音を立てて息を吸い込む症状が特徴です。年長児ではこのレプリーゼがはっきりしないこともあります。特に三種混合の予防接種を受けていない場合は、血液検査を受けることが必要です。

【心因性のせき】

 娘さんのように幼稚園に通い始めたり、弟妹の誕生などがきっかけで発症することがありますが、このせきは睡眠中には出ません。娘さんは四六時中、せきに悩まされているようですので心因性のせきは心配しなくてもよいと思われます。

【ちくのう症やアデノイド、扁桃腺(へんとうせん)肥大】

 このような病気もせきの原因となることがありますから、耳鼻科への受診をお勧めします。

 激しくせくことで、のどや気管支が傷められ、新たなせきを生じるようになります。診断と治療を並行して、根気強く続けることが何よりも重要です。

徳島新聞2000年3月5日号より転載

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