徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

【質問】 子どものイボとるには・・・

 5歳になる女の孫のことで相談します。1年くらい前から手の中指と、人さし指のつめの付け根のところにイボができました。直径3~4mmくらいで、少しカサカサしている感じです。3~4個できたとき、病院で診察を受けたのですが、イボに注射をして取る治療であったため、子どもが痛いと嫌がり、やめました。今では6~7個になり、体のところどころにできています。最近できたのは1mmくらいの大きさです。半年前、薬局で相談したところ、漢方薬を勧められ、服用させています。しかし、それも何の変化もありません。何か良い治療法はないでしょうか。



【答え】 尋常性疣贅 -大きさ・個数考え根気よく-

高橋皮膚科クリニック 院長 高橋 収(麻植郡鴨島町鴨島)

【いぼの治療法】


1 “いぼ”もしくは“いぼ”の周囲に注射する方法
   ブレオマイシン局注法(激痛)
   パスパート皮内注法
   インターフェロン皮下注法

2 “いぼ”に直接損傷を与える方法
   液体窒素凍結療法(1度に多数を治療可能)
   電気焼しゃく術(局所麻酔必要)
   炭酸ガスレーザー療法(機械が高価)

3 内服液
   ヨクイニン(漢方薬)
   グルチルリチン
   ビタミン剤(B、Cなど)

4 外用薬
  5-FU軟こう(抗がん剤)
   アラセナA軟こう(抗ウイルス剤)
   スピールこう(サリチル酸製剤)
   グルタールアルデヒド(殺菌消毒剤)

5 その他
   DNCB塗布療法、DPCP塗布療法(かぶれ
   を起こすことで、抵抗力を奮い起こす治療)
   暗示療法ないし自然治ゆ

 文面からお孫さんにできているものは、皮膚科ではありふれた疾患の「尋常性疣贅(ゆうぜい)」、つまり、よくあるタイプの“いぼ”で間違いないと思われます。

 一般に、“いぼ”と呼ばれているものにも何種類かあります。尋常性疣贅、青年性扁平(へんぺい)疣贅、みずいぼ、尖圭(せんけい)コンジローマなどはウイルスによる“いぼ”です。また老人性疣贅は、ウイルス性ではありません。

 さて、ご質問の“いぼ”の治療ですが、尋常性疣贅の治療として、皮膚科の教科書には10数種類もの治療法が記載されています。逆にいえば、これで確実という治療がないのです。

 しかし、ウイルスによる水痘、麻疹(しん)、風疹などが必ず治るように、ウイルス性の“いぼ”はいつか必ず治るのです。

 ただ、熱を出し、派手な症状をきたす疾患と比べ、熱も痛みも、かゆみもない“いぼ”は、からだが急いで抗体を作る必要を感じないのか、自然に治るまでには年余に及びます。

そこで、少しでも早く治すためにいろいろな試みがなされているのです。〈表〉に治療法をまとめてみました。それぞれに長所、短所があります。

 “いぼ”の大きさ、個数、年齢などを考慮し、どの治療法を選び、組み合わすかは、おのおの皮膚科医の考え方と患者さんの同意によります。十分に説明を受け、納得のいく治療を、治るまで根気良く続けてください。簡単に治ってしまうものもあれば、治療が数カ月に及ぶこともあります。残念ながら、皮膚科医にも正確には治療期間を予測できません。

 表の中で、現在最も一般的な方法は、液体窒素凍結療法です。私もウイルス性の“いぼ”の治療には、主にこの方法を用います。少し大きめに綿球をまいた綿棒の先を柔らかくとがらし、液体窒素を十分に含ませます。綿球の先をかるく“いぼ”に接触することで、“いぼ”は白く凍結します。数秒の凍結と溶解を連続4~5回繰り返し、この処置を1~2週間に1回行います。数日後に黒くなった“いぼ”がぽろりと落ちれば大成功です。

 痛みを伴う治療ですが、5歳くらいの子どもでも我慢をして治療を続ける子もかなりいます。足底、指先のいぼは、難治性のものが多いのですが、この治療をやっている皮膚科を受診し、一度試みられたらいかがでしょう。

徳島新聞1999年11月28日号より転載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.