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県民の皆さまへ

【質問】 たばこをやめたい

 40歳の主婦です。20歳からたばこを吸っていますが、最近、健康のためにやめたいと思っています。ニコチンガムを処方してもらい、たばこが吸いたくなったらガムをかみ、徐々にそのガムの量を減らしていって、禁煙に成功したという話を聞いたことがあります。県内でも、ニコチンガムは処方してもらえるのでしょうか。また、それは何科にあたり、健康保険は使えるのでしょうか。費用はどのくらいでしょうか。



【答え】 有用なニコチン代替療法

尾崎医院 院長 尾崎 敏夫(名西郡石井町高川原)

 禁煙を思い立っていられるようです。ぜひ、達成されるよう期待しています。

 最近、アメリカ最大のたばこ会社が「無害なたばこなどありません。吸う人は肺がんや心臓病にかかりやすく、たばこの害を避けるには禁煙しかありません」とたばこの害を警告し、禁煙方法を紹介しています。

 実際、たばこは気管支炎、肺気腫(きしゅ)、気管支ぜんそくといった肺の病気や、狭心症、心筋こうそくなどの心臓病などを起こしやすいことが知られています。また、たばこを吸う人は、肺がん、いん頭がん、食道がん、さらにはぼうこうがんなど、がんによる死亡率が吸わない人より何倍も高くなります。

 世界保健機関(WHO)はこうした「たばこ関連疾患」による死亡者が世界中で年間350万人にも達していると報告しています。つまり、毎日1万人がたばこに関連して亡くなっているということです。ゆゆしいことです。

 日本の喫煙者は人口の68.5%で、喫煙者のうち女性は13.3%です。女性のたばこは、病気以外にも妊娠・出産や子どもの健康にも影響を及ぼすため、問題が大きいといわれています。

 女性では20歳過ぎでたばこをはじめ、40歳ごろからたばこをやめる人が多くなっています。あなたもちょうど同じ年齢ですね。たばこをやめるきっかけは、病気や体調の悪化が一番多く、続いて医者の勧め、健康不安、周りの状況などです。あなたは健康のために禁煙を思い立たれたということですね。

 禁煙を成功させるには、禁煙を続ける意志が一番重要です。第二に、禁煙には家族や友人の理解と励ましが、大変役立ちますから、禁煙を周りに宣伝するとよいでしょう。第三は、禁煙中にたばこが欲しくなるとき、どう切り抜けるかをあらかじめ準備しておくことが大事です。ガム、梅干し、コンブ、お茶、冷水、禁煙パイプ、のどあめ、つまようじ、歯ブラシなどを口にする、体を動かす、歌をうたう、場所を変える、酒の席を避ける--などいろいろな方法を工夫してください。

 ところで、たばこはニコチン依存症という面があります。そのため、たばこの代わりにガムや張り薬を使って、ニコチンを体内に取り込むことで、たばこが欲しくなくなるという禁煙治療法(ニコチン代替療法)が行われるようになっており、有用です。ニコチンガムはご質問のように、たばこを吸いたくなったときにかみます。張り薬は、1日1枚、体に張って使います。これらによってニコチン欠乏症が起こらず、禁煙がしやすくなるというわけです。

 ニコチンガムや張り薬は、県内のほとんどの病院や診療所で処方してもらえます。ただ、ニコチンは妊婦や授乳中の女性、心臓病や新しい脳血管障害のある人は使用できないこともあります。そうした状態を診断してもらえれば、何科でもよいでしょう。

 ニコチンガムもニコチン張り薬も健康保険は使えませんので、自費で購入することになります。費用は使用量や使用期間で一概に言えませんが、2~3カ月の使用で禁煙できたとして、たばこ代よりは少し高くなると思います。禁煙後はたばこ代が節約できます。成功を祈ります。

徳島新聞1999年11月7日号より転載

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