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【質問】肘や膝に赤いできもの

 1歳半の子どものあせもについて質問です。暑い日が続くため寝ている間に汗をかき、肘や膝の裏、首、お尻の割れ目にあせもができてしまいました。ぽつぽつと赤くなったできものをかゆがっています。やはり皮膚科を受診するのがいいのでしょうか。予防する方法、対策について教えてください。

 

徳島赤十字病院 浦野芳夫皮膚科部長

 【答え】まめに衣類の取り替えを

 あせも(医学的には汗疹といいます)の対処法についてのご質問ですが、まずあせもについて簡単に説明いたします。

 あせもは汗をよくかく夏に多く、今年のように猛暑が続くと発汗量が多くなり、あせもも多くなります。汗はエクリン汗腺の分泌部で作られ、汗管を通って皮膚の表面に出てきます。表面に出てきた汗は蒸散して体から熱を奪い、体温調節を行っています。

 エクリン汗腺は体全体に分布し、数は300~400万個で小児と成人で差がありません。体表面積が少ない小児は汗腺の分布密度が高く、かつ基礎代謝が活発なため汗をかきやすくなります。

 汗は、汗管が閉塞したり、多量に発汗したりして蒸散できにくい環境では汗管内に貯留します。この貯留した汗が周辺組織に漏れ出るとあせもができます。お子さんのように首、肘、膝の裏などは、汗がたまってあせもが起こりやすい部位です。他にも、衣服で覆われた胸、背部なども汗を多くかき、あせもができやすい部位です。

 あせもは汗管が閉塞する場所により三つに分類されます。

 <1>[水晶様汗疹]角層で閉塞し角層内に汗が漏れ出たもので、大きさ1~2ミリの透明の水疱で水滴のようにキラキラと輝いてみえます。高熱を出したときやサウナなど高温・多湿である環境にさらされた場合、急激な日焼けの後などにみられます。

 <2>[紅色汗疹]表皮の上部で閉塞し表皮内に汗が漏れ出たもので、1~数ミリ程度の紅色の丘疹(皮膚が隆起したもの)が、汗のたまりやすい部位に多数出現します。少しかゆみがあるため、かき壊して湿疹になったり、2次感染により伝染性膿痂疹(とびひ)や多発性汗腺膿瘍(あせものより)を併発したりすることがあります。

 <3>[深在性汗疹]表皮の下部まで閉塞して真皮内に汗が漏れ出たもので、扁平な小丘疹が敷石状に多数集まって広範囲に及びます。汗を出せなくなるため体温調節がうまくできず、熱中症を起こしやすい重症型です。高温・多湿な環境が長時間続く熱帯地方や特殊な職場環境などで起こることがありますが、日本ではほとんど報告はありません。

 あせもは予防が大切です。衣類は吸湿性の柔らかな素材のものを選び、汗ばんでいればシャワーをしたりぬれタオルでふいたり、まめに衣類を取り換えたりします。クーラーなどで部屋の温度を調節することも必要です。ただ、乳幼児期にクーラーを多用してあまり汗をかかずに過ごすと、うまく汗をかけない体質になってしまします。

 水晶様汗疹は1~2日で自然に治るので、治療の必要はありません。紅色汗疹の初期は前述の予防法で良くなりますが、湿疹化した場合にはステロイド外用剤を塗ります。

 昔から使われてきたパウダー類の使用に関しては賛否がありますが、基本的に予防薬ですので、あせもに付けても効果はありません。また、汗やシャワーでぬれた部分に付けるのは良くありません。使用する場合は皮膚を乾燥させた後に付けてください。

 あせもと鑑別が必要なものに、湿疹・かぶれ、毛包炎、皮膚カンジダ症などがあります。良くならない場合には皮膚科に相談してください。

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