【質問】足がかゆくてたまらない
40代前半の女性です。毎年夏になると、足の裏や指の間がかゆくてたまらなくなります。受診はせず水虫の市販薬を塗っていますが、最近は爪の色が変わってきたようで、気になります。皮膚科を受診した方がいいのでしょうか。また普段どんなことに気をつければいいですか。
福原皮膚科 福原耕作 先生
【回答】自己判断せず受診を
夏になると足に強いかゆみが出るため水虫の薬を塗って対処しているとのことですが、まずはかゆみの原因が水虫によるものかどうかをはっきりさせる必要があるかと思います。
夏に足のかゆみで外来を受診される患者さんに多い病気は、水虫(白癬(はくせん)症)の他に汗疱(かんぽう)、汗疱状湿疹や接触皮膚炎(かぶれ)などがあります。いずれの場合も皮膚に異常を生じ爪にも変化が出ることがあります。
まず汗疱ですが、これは汗をかきやすい夏季や季節の変わり目に手足の指や手のひら、足の裏などに小さい水ぶくれができたり薄く皮がむけてきたりする病気です。かゆみが少ないタイプは小学生くらいまでに比較的よく見られ毎年繰り返すことも少なくありませんが、子どもでは成長するにつれて軽快することが多いようです。
かゆみが強く皮膚の症状もひどい汗疱状湿疹は金属アレルギーの関与が疑われています。手足は発汗が多く汗の中の金属濃度が高くなるため、食べ物や歯に詰めた金属が原因でアレルギー症状を起こすことがあるのです。
また接触皮膚炎は皮膚に接触する衣類や金属、ゴム製品などが原因で生じる可能性がありますが、実際の診療現場では自己判断で行った民間療法(お酢、ホウセンカ、アロエなど)や市販のかゆみ止め、水虫薬、消毒液などでかぶれて来院される方も少なくありません。
水虫は足のかゆみの原因として最もよく知られており、実際に病院に来られる患者さんも多い病気です。カビの一種の白癬菌に感染して発症し、日本では10人に1人は水虫を持っているといわれ、その頻度は年齢とともに高くなる傾向があります。
白癬菌は皮膚の最も表面にある角質層、いわゆるアカの部分で繁殖するため、不特定多数の人が出入りする場所では環境中に水虫患者さんから菌を含んだ角質が脱落していて、知らないうちに皮膚に付着する恐れも否定できません。特に共同浴場やプールなどジメジメしている場所や家族に水虫の人がいるときは要注意です。
ただ菌が付着したからといって必ず感染するわけではなく、ほとんどの場合は自然に、もしくは入浴時の石鹸(せっけん)洗浄やタオルで拭くことで脱落します。共同浴場やプールを利用した際は石鹸で洗った後、足の裏や指の間をしっかり拭いて乾燥させ清潔に保つよう心がけると良いでしょう。
また家族に水虫の人がいる場合でも、足拭きマットやスリッパなど洗えるものは洗い、洗えないものもしっかり水ぶきしたり掃除機をかけたりすることで除菌されるため、あまり神経質になる必要はないでしょう。運悪く水虫に感染してしまった場合は自分のためだけでなく、他人への感染源にならないためにもしっかりと治療することが大事です。
最近の市販の水虫薬には病院で処方される薬と同じ成分が含まれているものもあり効果が期待できますが、適切な薬を選ばないと薬にかぶれたり、そもそも診断が誤っていたり、細菌の二次感染でひどくなったりしている場合もあるため、自己判断せず専門医を受診して適切な診断と治療を受けるようお勧めします。