【質問】歩くたび足裏に痛み
40代後半の男性です。しばらく前から足裏の前部にウオノメのような堅い部分ができ、気になっていたのですが、最近になって、歩いているときでも一歩一歩足に体重がかかるたびに痛みが走るようになりました。考えられる病気や原因は何でしょうか。
戸田皮膚科医院 戸田則之先生
【回答】症状により治療法選択
足裏の痛みを起こす疾患には、局所の刺激、炎症、感染症、腫瘍、全身疾患の部分的症状などさまざまなものがあります。頻度の多い疾患から考えてみましょう。
足裏は、歩く、走る、ジャンプするなどによって常に負荷がかかっています。また、仕事や趣味で使用する靴などが硬い場合(安全靴や登山靴など)は、通常の動きでも過剰な刺激を受けてしまいます。これによって生じる部分的な角質増殖がベンチ(俗称タコ)です。足底、手のひら、指など、繰り返し刺激を受けやすい部位によくできます。
一方、同じように刺激で生じるもので、中心部に角栓を形成するのが鶏眼(俗称ウオノメ)で、圧迫すれば強い痛みがあります。体重がかかる足裏の前方部や、靴による刺激を受けやすい足指によくできます。
両疾患とも治療はサリチル酸などの外用薬を塗布した後、柔らかくなった皮膚を削ります。再発が多いため予防が大切で、クッションの良いものや足に合った靴を選ぶことに気をつけましょう。外科的切除は再発が多いため行うべきではありません。
これらの疾患に似たものとして、ウイルス性の疣贅(ゆうぜい)があります。ヒト乳頭腫ウイルスによる感染によって起こるものですが、手・足・顔・陰部などさまざまな部位に起こります。足に感染し大きくなれば歩行時に違和感を伴いますし、特に硬い疣贅の場合は、こすれにより炎症を伴い、強い痛みを生じることがあります。治療は局所処置として液体窒素を当て、ヨクイニンの内服を行いますが、一定の期間を必要とします。
足裏は外傷を受けやすい場所です。これにより皮膚の表皮成分が真皮内に埋入して発生する腫瘍があります。外傷性上皮のう腫です。これは顔や背中などの刺激を受けやすい部位にできる粉瘤(ふんりゅう)と同じものと考えられます。治療は外科的摘出を行います。
また手のひら・足底の角質肥厚をきたす疾患に、掌蹠(しょうせき)角化症があります。先天性のものが一般的ですが、後天的に白癬(はくせん)、更年期、ヒ素中毒、毛孔性紅色粃糠疹(ひこうしん)、内臓悪性腫瘍などでも同様の角質肥厚が起こります。局所療法としてサリチル酸ワセリン、尿素軟膏(なんこう)、ビタミンA含有軟膏、全身療法としてレチノイドの内服が有効です。
以上、考えられる疾患を述べましたが、このほかにも膠原(こうげん)病などの疾患に伴うものもあります。適切な診断と治療のため、早めに専門医受診をお勧めします。