徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

 風疹はワクチンが普及したことで子どもの患者さんを見ることはありません。最近、成人男性に集団発生のニュースがありました。特に東京、大阪、兵庫、神奈川など都市部に多く発生していて今年の風疹患者数は1,000名以上となり例年の3倍以上発生しています。風疹の発生が今年特に多い理由は判りませんが、風疹が問題になるのはなぜでしょうか。今月は風疹について考えてみました。



 風疹は発熱、発疹、後頭部リンパ節腫脹を特徴とするウイルス感染症ですが、症状が比較的軽く自然治癒する傾向が強いために昔はあまり重要な疾患と考えられていませんでした。

 しかし妊娠初期に風疹にかかると、生まれてくる子どもの中に先天性風疹症候群と呼ばれる多くの異常が生じることが判ったために風疹の重要性が認識されるようになりました。

 日本で先天性風疹症候群の発生が広く知られるようになったのは1965年、沖縄で先天性風疹症候群の多発から、聴力障害の子どもたちがたくさん発生したことによります。

 先天性風疹症候群には聴力障害の他に視力障害や先天性心疾患など多くの異常を伴うことが知られています。これは妊娠初期に風疹に罹患することによって風疹ウイルスが臓器細胞の分裂停止や細胞傷害を起こすことによります。感染時期が早いほど障害が重くなると考えられます。

 現在風疹が多発している30~40歳の男性では風疹の抗体保有率が低いことが知られています。男性の風疹罹患は配偶者の女性に伝染する危険性がありますから、この年齢層にも風疹ワクチンを積極的に勧めることが大切です。

徳島新聞2012年10月10日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.