徳島県小児科医会 日浦恭一
乳幼児のけいれんの中で最も多いものは熱性けいれんです。熱性けいれんの多くは短時間で止まりますから、小児科医が熱性けいれんを見る機会はわずかで、受診時にけいれんは止まっていることがほとんどです。
このような短時間の熱性けいれんでは脳に障害を残すことはありませんが、熱性けいれんも長時間持続すれば脳に障害を来すことがあります。また短時間のけいれんでも頻回に反復する場合にはてんかんなどの神経疾患と鑑別して治療する必要があります。
熱性けいれんが長時間持続する場合にはけいれん重積症として速やかにけいれんを止める治療が大切です。特に初発の熱性けいれんで長時間持続する場合には細菌性髄膜炎や脳炎・急性脳症との鑑別が大切です。
頻回に反復する熱性けいれんではてんかんと区別するために脳波検査を行います。ただし1回の脳波検査ではてんかん性の異常脳波が検出されないこともあります。記録条件を変えて繰り返し記録することが必要です。
熱性けいれんは38度以上の発熱で見られる発作性のけいれんで、中枢神経感染症や代謝異常、その他の明らかな原因疾患がないものを言います。
多くの熱性けいれんは生後6か月から5歳頃までに発生し、1~2歳に多いとされます。全小児の7~8%に見られ、一生のうちに1回だけ発生する熱性けいれんが約70%で、再発するものが約30%あります。また3回以上再発するものは9%あります。
頻回に再発する熱性けいれんでは予防が必要です。いたずらに不安がって不必要な治療をすることは適切なことではありません。
徳島新聞2012年7月18日掲載