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徳島県小児科医会 日浦恭一

 頭部外傷の事故を分析した報告によると全小児のうち0~4歳の事故が60%くらいを占め、中でも1歳が最多です。男女比は2:1で男児に多く、事故発生時期は6月を最高に夏に多く、曜日では土・日曜日に多く、時間帯では14~18時に多く発生します。事故の発生場所では0~9歳では家庭内、10~14歳は学校、15~19歳は道路が最も多くなります。事故原因となった設備では階段、自転車、椅子、床、風呂場の順で多くなり、事故内容では転落、転倒、衝突の順に多く、この3つの原因で大部分を占めています。



 頭部外傷の種類としては擦過傷、挫傷、打撲傷が大部分で骨折や頭蓋内損傷は約1%とわずかでした。頭部外傷が原因で死亡するものや神経系の後遺症が残るものはごく一部ですが、救急受診する患者さんの中には重篤な頭部外傷が隠れている場合があり油断できません。

 頭部外傷には損傷が直接脳に及ぶ一次的なものと、二次的な脳損傷があります。後者は外傷の結果起こった脳内血腫の増大や脳腫脹や脳浮腫による頭蓋内圧亢進、外傷性の血管障害、低酸素血症、高二酸化炭素血症などによる二次的な脳損傷です。中等症から重症の頭部外傷では時間の経過とともに障害が進行しますから早期に適切な診断を下して治療によってできるだけ二次的な脳損傷を軽減することが大切です。

 子どもの頭部外傷では意識障害が持続する時、頻回の嘔吐、麻痺などの神経症状やけいれんが見られる時に、は重症の頭部損傷の可能性が考えられますから、救急受診およびCTなどの画像診断が必要です。

徳島新聞2012年6月27日掲載

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