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 百日咳のワクチンが開始されるまで百日咳は毎年5万人くらい発生し、2000人以上が死亡していました。1950年に百日咳の不活化ワクチンが開始されてからその発生頻度は激減して、1974年には年間200人くらいまで減少していました。

 しかしその後、ワクチンによる副作用で事故が続き、接種の一時中止や接種年齢の引き上げ、ワクチンに対する不信感などのために百日咳の発生が再び増加しました。

 1981年から現行のワクチンに変更され、また1994年の予防接種法改正によって接種年齢が3カ月から接種できるように引き上げられてから、再び百日咳は減少しています。

 百日咳の発生は0歳児に多いのですが、最近は10歳以上や成人に多く発生しているのが特徴です。とくにワクチンを受けていない3カ月未満の乳児がかかると重症化します。またワクチン接種者や成人が百日咳にかかると典型的なせきの発作が見られないので正確な診断が遅れることがあります。

 ワクチン未接種の乳幼児に特徴的なせきの発作をみれば百日咳を疑うことはそれほど難しいことではありません。しかしワクチン接種者や成人が百日咳にかかった場合の特徴は長く続く慢性のせきです。せきによる睡眠障害や呼吸困難、嘔吐(おうと)などをともなうことがあります。気管支ぜんそくなどと誤った診断を受けて治療されていることもあります。

 百日咳ワクチンは大変有効なワクチンですが、接種後年月を経るとその効果は低下します。年長児や成人の百日咳は診断が難しく、ワクチン未接種者への感染源になります。長くせきの続く人は百日咳でないかを疑ってみることが必要です。

 重症の百日咳や合併症はワクチン未接種者に多いとされます。また母体からの百日咳の免疫は1~2カ月で消失します。したがって定期接種である百日咳ワクチン(三種混合ワクチン)は生後3カ月を過ぎたらできるだけ早期に受けることが大切です。

2008年3月26日掲載

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