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 子どもの発熱原因の中でもっとも多いものは呼吸器系の感染症ですが、その大部分はウィルス感染症です。したがって発熱の子どもを診た時に抗菌剤と解熱剤を投与していたのは理由の無い過去の治療となりました。

 発熱は感染症に対する免疫能を誘導する大切な症状のひとつです。発熱初期に熱だけを下げる処置は適切な処置とは言えません。

 しかし発熱は頭痛や倦怠(けんたい)感をともない食欲低下や睡眠障害など、子どもの体力を消耗させることもあり、どうしても苦痛が激しい場合に解熱剤の投与を考えます。

 現在使用されている解熱剤はほとんどがアセトアミノフェン(商品名:アルピニー、アンヒバ、カロナール)です。坐剤や内服薬として使用します。多くの市販の総合感冒薬にも入っています。アセトアミノフェンは使用できる解熱剤の中ではもっとも安全な薬です。過量に投与すれば肝機能障害を起こすことがありますが、適切な投与量を守ればほとんど副作用はありません。

 日本での使用はそれほど多くありませんが、イブプロフェン(ブルフェン、ユニプロン)も解熱剤として使用可能な薬剤です。アセトアミノフェンよりも解熱効果、鎮痛効果ともにすぐれていると言われます。

 以前はメフェナム酸(ポンタール)やジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)も子どもの解熱剤として使用されてきましたが、これらの薬剤はインフルエンザ脳症を引き起こす可能性の高い薬剤と考えられ現在では子どもの解熱剤として使用されることはありません。

 大人の薬剤を誤って子どもに投与することのないように注意する必要があります。

 最後に解熱剤の使用法ですが、発熱初期に悪寒があり寒気を訴えている時期には解熱剤を使用しても熱は下がりません。最初の1~2日熱を出し切ってから解熱剤を使用すると、効果がいいと言われます。

2008年2月27日掲載

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