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県民の皆さまへ

 予防接種が普及して麻疹を見ることは少なくなりましたから、私たちは麻疹を過去の病気のように思い込んでいることがあります。しかし麻疹は完全に制圧されたわけではありませんから日本社会で一度麻疹が発生すれば免疫を持たない人の間に次々伝染して、麻疹が流行します。その結果、重い症状や合併症で苦しむ人が多くいることを知っておかねばなりません。

 麻疹の主な症状は高熱と発疹です。発疹が出るまでの症状は発熱、咳、鼻みず、目の充血や目やになど、一般のかぜ症状と区別できないものばかりです。しかし普通のかぜに比べると症状がとても強いことが特徴です。

 麻疹ウイルスは口や鼻などの気道粘膜に侵入して、侵入局所で増殖します。その後白血球を介して全身に広がり、そのため全身のあらゆる臓器の症状が出現します。 ウイルス侵入から発病までの潜伏期間は約10日です。病初期から高熱、はげしい咳や鼻みず、目やにや目の充血などが見られます。この病初期の2~3日をカタル期と呼びます。この時期には下痢などの消化器症状も見られます。

 発病後3~4日すると高熱が少し下がったときに口の中、ほっぺたの内側に周辺が赤く中央が白い斑点が出現します。これがコプリック斑です。この斑点が麻疹診断の有力な手がかりになります。

 一時下がったようにみえた高熱が再び上昇するときに首や耳の後ろから紅色の発疹が出現し始め、1~2日で急速に全身に広がります。この時期を発疹期と呼び、発熱は続きます。

 麻疹ウイルスはカタル期から発疹期に伝染力が強く、空気感染・飛沫(ひまつ)感染・接触感染などさまざまな形態で伝染します。

 その後、回復期になると熱が下がり、発疹は茶褐色の色素沈着を示し、完全に消えてしまうまでには長い時間を要します。

 麻疹は約1週間の高熱をともないますから、体力のない乳幼児では合併症がなくても耐えることが難しい病気です。

2007年10月17日掲載

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