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県民の皆さまへ

 大人でも子どもでも肥満があるだけで症状があらわれることはありません。しかし高度の肥満や長い間放置した肥満はさまざまな病気の原因になります。徳島県で糖尿病の死亡率が全国一高いことが大きな問題になっています。このことは徳島県の子どもたちには、大人になったときに糖尿病の原因になる可能性のある肥満が多いものと考えられます。

 もともと私たちの先祖は常に飢餓と戦って生きてきました。したがって昔は摂取した栄養の過剰部分をからだに蓄える素質を獲得した人が生存に適していたのです。しかしこのような遺伝的な素質は現代のように食物が有り余る社会ではさまざまな疾患を引き起こす原因になることがあります。

 現代では食物はいつでも欲しいものが欲しいだけ手に入ります。都市型社会では運動する時間も場所もありません。洋風の食事には脂肪と糖質が多く栄養的に偏っています。肥満に対する考え方も個人によって大きく異なります。家族が肥満である家庭の子どもは肥満を病気と考えることはありません。

 肥満に対する治療の中心は食事療法と運動療法です。

 そのためには現在の生活習慣を見直すことが必要です。毎日の食事内容を調べることで、必要な栄養が十分とれているのか、過剰な栄養はなにか、などを知ることが大切です。

 栄養必要量は年齢、性別、体格によって異なります。また食物は総カロリーだけでなくタンパク質、ミネラル、ビタミン類などの栄養バランスが大切です。食べ過ぎだけでなく偏食にも注意する必要があります。生活中の活動量にともなう消費量は個人で異なります。

 子どもの栄養は成長に必要なタンパク質やカルシウム、鉄など大人よりも多く必要とします。好きなものだけ過剰に摂取すると必要なものが不足して総カロリーだけ過剰になることがあります。

 肥満に対する正しい治療は食べないことではありません。正しい食事のあり方を学ぶことで、無理なく続けられる正しい食事の習慣を子どものころから身につけることが大切です。

2006年12月26日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.