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 乳児健診にはポイントになる月齢があります。前回お話した4カ月健診もそのひとつですが、10カ月も大切な時期のひとつです。

 この時期は運動面でも精神面でも著しく活発になりだんだん人間らしい特徴が出てきます。

 運動面ではハイハイをする、つかまり立ちやつたい歩きを始めるなど、からだのバランスをとって移動することができるようになります。またからだの移動などの粗大な運動とともに、指を使った細かい運動が上手になり、小さいものを指でつまむことができるようになります。

 言語や理解に関しても、「だっだっだっ」「まんまんま」など意味のないことば喃語(なんご)を盛んにしゃべるようになります。大人の言うことを理解し、「ダメッ」と言うと、じっと人の顔を見て手をひっこめるようになります。家族と他人の区別がつくようになり、子どもによっては人見知りや夜泣きも始まります。

 さらにこの時期は何にでも興味を示して、からだから乗り出しますから、のぞき込んで転落したり、立位や歩行の時にもバランスを崩してよく転倒することがあります。また何でも拾って口に入れますから、家庭内での誤嚥(ごえん)や誤飲が多くなります。このように事故の危険性が増す時期ですから注意を促す必要があります。

 栄養面でも後期離乳食が3回食になり、何でも食べられるようになりますが、遊び食いやむら食い、好き嫌いなど食に関する問題も出てきます。栄養状態や体格面では個人差が大きくなります。そこで個人の離乳食の進み具合を見て、個別に具体的な指導が必要となります。この時期の食事のしつけは、その後の食事習慣を確立する上でとても大切なものです。

 また感染症にかかることが多くなり、発熱などに対する対処法の指導も必要となります。

 乳児期は子どもの活動が活発になるとともに母親のストレスは大きくなります。小児科医は乳児健診を通してこのようなストレスの多い母親の育児不安を解消することに努めているのです。

2006年10月24日掲載

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