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 単純ヘルペスウイルスは一度感染すると神経節細胞にDNAの形で潜んで、宿主に疲労や外傷、免疫状態の低下などのストレスが加わったときに再発します。疲れたときに口周囲のヘルペスが出やすい人がありますがこのときには初感染のときのような強い症状を示すことはありません。しかしそれまでにヘルペスの感染を受けたことがない場合には、大変強い症状を示すことが普通です。とくに新生児のヘルペス感染症は命に関わるような症状が一般的なので油断できません。

 新生児ヘルペスでは全身の臓器にウイルスが及ぶ全身型、中枢神経に感染して脳炎を起こす中枢神経型、病変が皮膚、眼、口腔に限局する表在型の3型に分類されます。問題になるのは全身型と中枢神経型です。感染経路は主として分娩時の産道感染です。母親の性器ヘルペスから新生児が分娩時にウイルスに感染して生まれてくると新生児ヘルペスにかかります。もしこの時、母親のヘルペスが初感染であると産道感染の危険性は30~50%以上あるとされ、再発性の場合には数%と言われます。これは初感染ではウイルス量が多いこと、児への移行抗体も期待できないためとされます。

 全身型では血液を介してウイルスが全身に配布されることによって肝臓、肺、副腎などの臓器を傷害して症状が出現します。生後5日ころから発熱、哺乳力低下、活動性の低下や無呼吸などの症状が出現しますがヘルペス感染症に特異的な症状はありません。水泡形成が明らかでない場合もあります。その後、急激な肝機能障害があらわれ出血傾向など様々な合併症が出現します。

 中枢神経型では全身型より発病が遅く、活動性の低下やけいれんなどで発病します。全身へのウイルスの散布はありませんが神経細胞が侵されることによって神経学的な後遺症を残すことが多いとされます。

 新生児ヘルペスは母親のヘルペスからの母子感染ですから、母親が無症状であっても新生児ヘルペスを予防するための十分な処置が必要となります。

2005年2月15日掲載

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