毎年、寒くなるとインフルエンザが流行します。体力・抵抗力のない乳幼児や老人はかかりやすく、かかると治りにくく中には重症の合併症で苦労する人もあります。またインフルエンザは伝染力が強く数年毎に大流行して猛威をふるうため、一度はやり始めると集団生活をしている人はかかる危険性が高くなります。また乳幼児ではインフルエンザによる脳炎・脳症の発生が問題になります。しかしここ数年、インフルエンザに対してさまざまな医療上の進歩が見られ、診断・治療面で随分変わってきています。インフルエンザに対する話題が毎年でてきて世間をにぎわせていますが、昨シーズンは年末から比較的大きな流行になり救急現場は大変な思いをしました。今年はどうでしょうか。
インフルエンザに対する医療の進歩のひとつはワクチンの効果に対する考え方の変化です。従来、ワクチンを接種してもあまり効果がないとか、ウイルスの型が違えば効果がないなどと否定的な考えをする人が多く、学校などで行っていた集団接種を中止した経緯があります。しかし集団接種の中止後、接種をしていた時よりも老人の死亡率が高く、ワクチンは接種した本人のインフルエンザ予防効果は低くても、家庭にインフルエンザを持ち込まないことで、老人や乳幼児のインフルエンザの予防に役立っていたことが明らかになったのです。
インフルエンザワクチンは不活化ワクチンで、免疫を持たない乳幼児には免疫の出来にくいワクチンです。ワクチンの効果持続3~5ヵ月と比較的短期間です。また乳幼児に対する予防効果は20~40%であるとされ、成人に比べると有効率で劣ることも知られています。しかし症状や合併症の重さを考えれば、発熱やショックなどの副反応も比較的少なく、できればワクチン接種を行いたいものです。
例年、インフルエンザが流行する頃になるとワクチンや検査試薬、治療薬剤の不足など話題に事欠きません。昨年末にはワクチン不足で希望者全員に接種が出来ておりません。なんとかインフルエンザにかからず冬を乗り切りたいものです。
県民の皆さまへ
インフルエンザ 1
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- カテゴリ: 小児科相談
2004年1月13日掲載