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 発熱は小児科外来や救急病院を受診する患者さんの訴えとして最も多いものです。子どもの急な発熱は随分と心配なものですが、発熱について知るにはその前に体温のことを理解していなければなりません。今月は子どもの体温と発熱について考えてみました。

 一般に子どもの体温は大人よりも高いと言われていますが、人の体温は年齢以外にも季節や時間、環境温などの条件、体温の測定法、測定部位によっても異なります。食事や運動、入浴によっても体温は影響を受けます。夏には冬よりも高く、朝よりも夕方のほうが高くなります。同じ測定部位で同じ体温計を使用するなど一定の条件で測った時の体温が平熱です。平熱は人によって異なりますから、平熱を知るには毎日、何回か体温を測定してその変動の幅を知っておくことが必要になります。平熱よりも明らかに高い場合が発熱と考えられます。

 体温は視床下部の体温調節中枢で調節されています。寒さや暑さを感じた時に人はこれを避ける行動をとります。身体を移動したり体位を変換したり、衣服を着脱することで体温の変化を防ごうと試みます。エアコンのスイッチを入れたり切ったりすることもあります。このような行動で体温をコントロールすることは大人ではあたり前ですが、子どもでは難しく、発達にともなって後に行動による体温調節が可能となります。また生理的な体温調節は熱産生と熱放散のバランスが自律神経によって、常に一定の体温を維持されています。暑い時には皮膚血管が拡張し、呼吸が早くなり、また発汗が増加することなどにより放熱して体温を下降させます。寒い時には熱産生が増加します。熱産生の75%は筋肉で行われ、骨格筋のふるえによる熱産生や内臓で代謝が亢進して熱産生が増加します。新生児や乳児では筋肉が少なくふるえによる熱産生は少なく、反対に体重の割に体表面積が大きく放熱しやすく寒冷な環境では低体温になるやすいとされます。子どもは体温調節の可能な幅が狭いので、劣悪な環境で体温の上がり過ぎや下がり過ぎに注意することが大切です。

2003年8月12日掲載

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