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県民の皆さまへ

 麻疹の怖さについては前回ここに述べました。麻疹ワクチンは昭和53年から定期予防接種に組み込まれて現在に至ります。ワクチン接種によって95%以上の人に抗体が出来ると言われています。ワクチンの普及によって麻疹による多くの犠牲者が救われたことは明らかです。

 しかし最近、日本全国で散発的に麻疹が流行していることが報じられています。昨年も高知や大阪で流行がありました。また最近の麻疹流行の特徴は乳幼児だけでなく、一度ワクチンを受けた中学生や高校生の中に麻疹にかかる人が増えていることです。これは現在の日本のように麻疹ワクチン1回接種のみでは麻疹を十分に制圧することは出来ないということを証明しています。

 最近の先進国では麻疹ワクチンを2回接種にしている国が多くなっています。これは麻疹の流行がある地域では、ワクチン接種で一度免疫をつけた後に自然界の麻疹に出合うことで免疫が強化され麻疹にかかったのと同じような免疫が期待できますが、自然界に麻疹が減少してワクチンを受けた後にまったく麻疹に出会うことなく何年も経過するとワクチンでつけた免疫は体内から減少して新たに麻疹に出会った時に発病してしまうことがあるのです。世の中に麻疹が減少してきた現在、ワクチンで免疫をつけた人が増加している今後はワクチンの2回接種が必要となるでしょう。

 現在、欧米先進国ではすでに麻疹ワクチンの2回接種が行われて、かなりの麻疹を制圧することに成功していますが、日本では麻疹が制圧されたことはとても言えない状態です。アメリカに行った日本人の子供が麻疹を持ち込んで、日本は麻疹まで輸出するのかと国際問題になりかけたことさえあったそうです。

 ワクチンで免疫をつけた人たちが成人になるに従って麻疹が成人の病気として流行する恐れがあります。ワクチンの2回接種をすすめることで麻疹の流行を制圧したいものです。
 

2002年1月15日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.