痰つかえ 息苦しいときも
【質問】70代の女性です。3年ほど前から、痰が喉につかえ、違和感があります。せき払いをしてもあまり取れず、息苦しいときもあります。酢の物を食べてもむせます。病院では咽喉頭異常感症と診断され、痰の粘り気を軽減させるカルボシステインや、痰の排出を促進するアンブロキソールを処方されました。現在は漢方薬の半夏厚朴湯などを服用していますが、症状は良くなりません。原因を教えてください。
【質問】70代の女性です。3年ほど前から、痰が喉につかえ、違和感があります。せき払いをしてもあまり取れず、息苦しいときもあります。酢の物を食べてもむせます。病院では咽喉頭異常感症と診断され、痰の粘り気を軽減させるカルボシステインや、痰の排出を促進するアンブロキソールを処方されました。現在は漢方薬の半夏厚朴湯などを服用していますが、症状は良くなりません。原因を教えてください。
徳島市民病院耳鼻咽喉科 雫治彦 先生
検査と十分な経過観察必要
【答え】喉は口腔や鼻の奥から食道や気管、肺へと続き、外気や食物の通り道となっています。外からの刺激を受けやすく、とても敏感な場所なので、喉の異常感にはさまざまな原因が考えられます。
風邪をひいたとき、喉の炎症や鼻水が喉に流れ込む症状で、不快な違和感が生じた経験は、誰もが一度はあると思います。相談者の症状は3年前からとのことで、今回は症状が長く続く病気について考えてみたいと思います。
まず挙げられるのは、喉のできもの(腫瘍)です。鼻から喉の奥にかけては、奥まっているために目視が難しく、喉頭ファイバースコープ(喉の内視鏡検査)を使って診察します。腫瘍のほかに喉の形態異常による原因(へんとうの肥大や首の骨の異常)も、内視鏡検査で見つかることがあります。
慢性的な炎症、特に慢性副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)は、鼻水が喉に流れ込む症状が続くために違和感の原因になることがあります。慢性的な黄色い鼻水や後鼻漏(粘り気のある鼻水が喉に流れ落ちてたまる症状)は、慢性副鼻腔炎が疑われ、レントゲン写真やコンピューター断層撮影(CT)検査で診断します。
近年、喉の違和感の原因として多いといわれているのが胃食道逆流症です。胃酸が胃から食道、喉にかけて逆流してくる病気で、違和感の原因の半分を占めるという報告もあります。内視鏡検査では、喉に全く異常が認められない場合もあり、胸焼けがする、胃酸が喉に上がってくるなどの症状があれば、食道・胃内視鏡検査も必要となります。治療は、胃酸の分泌を抑える薬を一定期間内服し、症状に変化があるかどうかを確認することになります。
喉頭アレルギーも原因として挙げられます。花粉など原因のはっきりする季節性と、原因のはっきりしない通年性があります。アレルギー疾患をお持ちの場合は、抗アレルギー薬が喉の違和感に対して効果を示すこともあります。
これらの検査で異常が見つからず、薬を使っても症状が改善しない場合は、咽喉頭異常感症という診断になります。原因の確定が難しい疾患ですが、神経が過敏だったり、ストレスを慢性的に抱えていたりする患者さんに多いようです。治療では、抗不安薬や漢方薬がよく使用されます。
最後に大事なことですが、咽喉頭異常感症の診断には、検査に加えて十分な経過観察が必要です。現時点の診察では異常がなくても、何年も経過してから重大な疾患が表面化することがあるからです。
喉の違和感にはさまざまな原因が考えられることを念頭に、耳鼻咽喉科を受診してしっかり治療や経過観察を続けることが大切です。
検査と十分な経過観察必要
【答え】喉は口腔や鼻の奥から食道や気管、肺へと続き、外気や食物の通り道となっています。外からの刺激を受けやすく、とても敏感な場所なので、喉の異常感にはさまざまな原因が考えられます。
風邪をひいたとき、喉の炎症や鼻水が喉に流れ込む症状で、不快な違和感が生じた経験は、誰もが一度はあると思います。相談者の症状は3年前からとのことで、今回は症状が長く続く病気について考えてみたいと思います。
まず挙げられるのは、喉のできもの(腫瘍)です。鼻から喉の奥にかけては、奥まっているために目視が難しく、喉頭ファイバースコープ(喉の内視鏡検査)を使って診察します。腫瘍のほかに喉の形態異常による原因(へんとうの肥大や首の骨の異常)も、内視鏡検査で見つかることがあります。
慢性的な炎症、特に慢性副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)は、鼻水が喉に流れ込む症状が続くために違和感の原因になることがあります。慢性的な黄色い鼻水や後鼻漏(粘り気のある鼻水が喉に流れ落ちてたまる症状)は、慢性副鼻腔炎が疑われ、レントゲン写真やコンピューター断層撮影(CT)検査で診断します。
近年、喉の違和感の原因として多いといわれているのが胃食道逆流症です。胃酸が胃から食道、喉にかけて逆流してくる病気で、違和感の原因の半分を占めるという報告もあります。内視鏡検査では、喉に全く異常が認められない場合もあり、胸焼けがする、胃酸が喉に上がってくるなどの症状があれば、食道・胃内視鏡検査も必要となります。治療は、胃酸の分泌を抑える薬を一定期間内服し、症状に変化があるかどうかを確認することになります。
喉頭アレルギーも原因として挙げられます。花粉など原因のはっきりする季節性と、原因のはっきりしない通年性があります。アレルギー疾患をお持ちの場合は、抗アレルギー薬が喉の違和感に対して効果を示すこともあります。
これらの検査で異常が見つからず、薬を使っても症状が改善しない場合は、咽喉頭異常感症という診断になります。原因の確定が難しい疾患ですが、神経が過敏だったり、ストレスを慢性的に抱えていたりする患者さんに多いようです。治療では、抗不安薬や漢方薬がよく使用されます。
最後に大事なことですが、咽喉頭異常感症の診断には、検査に加えて十分な経過観察が必要です。現時点の診察では異常がなくても、何年も経過してから重大な疾患が表面化することがあるからです。
喉の違和感にはさまざまな原因が考えられることを念頭に、耳鼻咽喉科を受診してしっかり治療や経過観察を続けることが大切です。