便秘薬服用 副作用が心配
【質問】50代女性です。閉経後、便秘がひどくなり酸化マグネシウムを服用しています。先日、薬局で薬と一緒に「高マグネシウム血症」という副作用の説明書をもらいました。長く服用すると、初期症状としてまれに吐き気や立ちくらみなどがあると書かれています。3年間、服用を続けて副作用はありませんが、心配ないのでしょうか。
三谷裕昭 先生三谷内科 腎臓疾患なければ大丈夫
【答え】マグネシウムは、成人の体内に20~28グラム存在し、このうち50~60%が骨、残りは筋肉やその他の組織などにあります。生理的に重要な働きをする必須ミネラルで、糖尿病や消化器疾患、過剰なアルコール摂取などで低マグネシウム血症になると、代謝異常などを起こします。
質問者が服用している酸化マグネシウムは、1950年から便秘薬や胃酸を中和する制酸剤などとして国内で多く用いられ、年間延べ使用者数は約4500万人とされます。副作用のリスクが低いとみられていましたが、2005年に約3年間で15人が高マグネシウム血症になったと報告されました。
高マグネシウム血症になると、神経や筋肉、消化器、循環器などに症状が出ます≪表参照≫。
ただ、通常は腎機能障害や腎硬化といった疾患がなければ、酸化マグネシウムを服用しても支障ありません。成人の場合、摂取したマグネシウムの約半分を腸から吸収して体内に蓄積し、残りは便と共に排出されます。蓄積したマグネシウムも、大部分は腎臓から尿と一緒に排せつされ、体内のマグネシウム量のバランスを保っています。酸化マグネシウムの吸収率は低く、4%程度です。
当院で70~80代の患者が酸化マグネシウム(1日当たり1・6グラム)を摂取した場合と、しなかった場合を比較しました。摂取した患者の血清マグネシウム濃度は、摂取しなかった患者をやや上回りましたが、いずれも正常値です。
便秘への対症療法は必要ですが、酸化マグネシウムを含めた緩下剤(便を柔らかくする薬)の長期服用は控えた方がいいでしょう。かん腸などの多用も、他の病気の合併を招くことがあります。
健康寿命の長い長野県は野菜摂取量が日本一で、糖尿病の多い徳島県はワーストというデータがあります。食物繊維の多い野菜を多く食べ、運動や水分摂取などを心掛けることが大切です。