不眠や食欲不振 対処方法は
【質問】30歳の会社員の男性です。ここ2、3年、9月ごろに夜眠れなくなったり、食欲が湧かなくなったりすることがあります。しばらくすると症状はなくなるので、深く考えませんでした。最近、インターネットで「9月病」という症状があることを知りました。ストレスが主な原因とのことです。対処方法はありますか。
枝川クリニック 枝川浩二 先生
生活習慣整え適度な運動
【答え】9月病は、もともと夏に長い休暇を取る欧米で、休み明けに心身の不調を来して、仕事にうまく復帰できない状態を指したものだといわれます。
日本でも、9月は夏休みが明けて仕事や学校が始まる時期。夏の暑さがストレスとなって心身の調子を崩すことを、9月病と呼ぶそうです。医学用語ではありません。心身の病気の一歩手前の状態で、適切な対処が必要です。
原因は夏の暑さのストレスと思われます。さらに不規則な生活に伴う睡眠不足や、食生活の乱れが関係していることがあります。人間はストレスに対して、交感神経系や副腎皮質ホルモン系を活性化し、身体内部の状態を一定に保つ働きを持っています。
ところが、この状態が続くと、病的なストレス反応を引き起こします。脳はストレス反応の中心的な器官。ストレスは脳機能の低下を引き起こし、さまざまな心身の不調が生じます。
症状としては▽だるい▽食欲がない▽頭が重い▽気力が出ない▽おっくう▽面倒▽不安▽いらいら▽気分の落ち込み▽集中困難▽眠れない▽朝起きにくい―などがあります。うつ病の初期症状とも考えられます。
対処方法は、睡眠や食事などの生活習慣を整えること。夜更かしせず、6、7時間の睡眠を取ることが大切です。遅くとも午前0時までに就床。パソコンやスマートフォンの光は寝付きを悪くするので、寝る前は控えましょう。朝は目から光を入れることが重要で、このことが睡眠のリズムを作ります。昼休みに15分くらい仮眠を取ることも効果的です。
栄養バランスの取れた消化の良い食事を3食取ることが大切です。特に朝食を十分に取って血糖値を上げることは、睡眠覚醒のリズムを整えるとされています。
適度な運動をすれば、生活にメリハリがつき、体調を維持しやすくなります。積極的に歩くことや軽い筋トレ、ストレッチなどが、負担も少なくていいでしょう。
このような対処を行っても効果がなく、2週間以上不眠や心身の不調が続く場合は、本格的なうつ病・抑うつ状態に陥る可能性もあります。心療内科や精神科を受診して適切な治療を受けることを勧めます。