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視野欠損 手術以外の治療法は

 【質問】60代の男性です。11年前に正常眼圧緑内障と診断され、現在は3種類の点眼薬を入れています。視野欠損が止まらず、先日の検査で医師に「手術を考えてください」と言われました。ただし首を痛めていて、10分以上もあおむけでじっとしていられません。首が痛くても手術はできますか。手術以外に治療法はありますか。

 徳島大学病院眼科  藤原亜希子 先生

 レーザー治療も選択肢

 【答え】眼球内では房水(ぼうすい)という液が毛様体(もうようたい)で作られ、虹彩(こうさい)の裏を通って前房に至り、線維柱帯を経てシュレム管から排出されます=図参照。

 房水の循環で通常10~21ミリHgの圧力が眼球の内側にかかり、眼球の形が維持されます。この圧力が眼圧です。眼圧が高くなると視神経に障害が出やすくなり、緑内障のリスクが高まるとされます。

 正常眼圧緑内障とは、眼圧が正常範囲ながら視神経症と視野障害を生じる病気で、日本人の緑内障の7割を占めています。通常は緑内障を起こさない程度の眼圧でも、視神経に障害が起こる原因として、▽視神経の血液循環不良や先天的な弱さ▽遺伝▽免疫▽酸化ストレス―などが考えられています。

 正常眼圧緑内障も、通常の緑内障と同様に眼圧を下げることで進行を抑えられるとの報告があります。最大限の点眼でも十分に眼圧が下がらなかったり、視野障害が進行したりする場合は、手術を選択します。

 手術は、房水を眼外にしみ出すよう細工をする線維柱帯切除術と、線維柱帯を切開して房水が排出されやすくする線維柱体切開術の二つがあります。

 最近、房水の排出を改善するために器具を留置する方法が導入されました。

 どの手術を選択するかは▽年齢▽視野障害の進行度▽現時点の眼圧▽もう片方の目の状態―によって検討します。

 これらの手術は、基本的に手術用の顕微鏡を用いて局所麻酔で行います。患者はあおむけになる必要があります。

 首を痛めており、あおむけが難しいとのことでした。手術中に首の痛みのため目に力が入ったり、頭が急に動いたりすると、眼内出血や組織損傷などの合併症を起こすことがあり、危険です。ただ、首の角度を調整したり膝を曲げたりといった工夫で、あおむけがストレスなくできるかもしれません。担当医師と事前に相談してください。

 それでも首の痛みが強い場合には、全身麻酔で手術を受けることができます。

 さらに手術以外の治療法では、対応できる施設は限られるものの、レーザー治療があります。線維柱帯にレーザー光を照射して房水の排出を促します。あおむけになる必要はなく、外来で行うことができます。とはいえ、眼圧が低い場合は眼圧を下げる効果が小さく、正常眼圧緑内障では十分な成果が得られないことがあります。

20171209

 

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