口角が赤黒くくすんで腫れている
【質問】74歳男性です。口角が赤黒くくすんで、腫れています。痛みはありませんが、見た目が汚いです。何か悪い病気なのでしょうか。原因は何ですか。
あなん皮フ科クリニック 山本忠正 先生
皮膚科を受診し相談を
【答え】皮膚の病気は大きく分けて、湿疹やかぶれなど炎症によるものと、しみやほくろなど腫瘍によるものの2種類があります。
まず炎症性の病気について。口角に炎症が起こった場合、口角炎と呼ばれます。病名というより口角の部分に生じた炎症の総称です。両側にできることもあれば、片側のみの場合もあります。
症状の強さによって口角部に▽発赤▽びらん▽亀裂▽かさぶた―を生じます。
発赤のみならあまり症状はなく、少しかゆみが出る程度です。びらんや亀裂が生じると、痛みや出血を引き起こすことがあります。
原因は次のようなものがあります。
一つ目は機械的な刺激によるもの。義歯が当たったり、かみ合わせが悪かったり、唾液が常に付着したりして、皮膚に刺激が加わることで起こります。
二つ目は感染です。細菌や真菌(主にカンジダ)、ウイルス(主にヘルペス)の感染で発症します。
三つ目は栄養素の不足。ビタミン不足(主にビタミンB群やビタミンA)によって生じます。また、鉄欠乏や貧血、糖尿病などの内科的疾患や、内服薬によって発症することもあります。
治療は口角炎の原因を調べた上で、原因に応じて行います。
口角への刺激があれば刺激を除去し、感染によるものであれば、原因菌に対して、抗菌薬の内服や外用を使用します。
ビタミン不足の場合は補充を行い、内科的疾患があるなら疾患を治療します。
症状がある口角には、原因を取り除きながら、状況に応じてワセリンによる保護や刺激を緩和するステロイド外用剤を使います。
次に腫瘍によるもの。顔面のどこでも腫瘍ができる可能性はあり、たまたま口角にできて、それが赤黒く見える場合があります。
痛みやかゆみの症状はないことが多く、腫瘍には良性と悪性があります。良性のほとんどは老人性色素斑や脂漏性角化症です。悪性は日光角化症、基底細胞がん、悪性黒色腫などがあります。腫瘍の見た目だけで判断できる場合と、皮膚の一部を採取して組織検査で診断することがあります。腫瘍の種類によって治療法が異なります。良性なら経過観察も可能。悪性の場合は切除が必要になります。
診断や治療には皮膚科を受診し、相談してください。