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【質問】 発症後でも症状軽くできる?

 35歳の女性です。3年前から花粉症に悩んでいます。今年も2週間前から目がかゆくなりました。事前に薬を飲んだり、注射を打ったりすれば症状が軽くなると聞きましたが、今からでも間に合うのでしょうか。また、子どもに遺伝することはありますか。



【質問】 花粉症 -薬物療法や手術で治療高麗-

高麗耳鼻咽喉科 高麗敬司(鳴門市撫養町斎田)

 花粉症の一般的な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりですが、今年は例年に比べて花粉の飛散が少なく、さらに雨が多いので、花粉症の症状は比較的軽いと思われます。

 花粉症は、それ自体が一つの病気ではなく、花粉が原因で引き起こされるさまざまなアレルギー症状をそう呼んでいます。症状が初めて出る初発年齢は30~40歳が一番多いとされています。ご質問の方は32歳のときに発症したようですね。

 花粉が飛散する前に、予防的な治療を受けるのは大変有効です。私は、患者さんに花粉症の治療について話すときは、「火事はぼやのうちに消した方がいい。大火事になってからでは遅いですよ」と説明しています。

 通常は1月末ごろ、花粉飛散の1週間前から、眠気など副作用の少ない抗ヒスタミン剤を服用するのが良いと思います。また、局所へのステロイド注射やアレルギーに効果のある注射薬があります。

 しかし、ご質問のように花粉症が起こってしまってからの治療は、予防的治療とは異なります。その人の症状に応じて複数の異なる薬を組み合わせたり、局所にステロイドを点鼻したりする薬物療法があります。ただし、治療薬の効果や副作用は個人差が大きいため、患者さんに合った治療薬や治療法を見つけることが重要です。

 薬物以外の治療法としては、減感作療法(免疫療法)や手術などがあります。後者は、鼻腔(びこう)粘膜を壊死(えし)化させる方法や鼻腔整復術、神経切断術があります。こうした手術と薬物療法を組み合わせ、患者さんの要望に添った治療を行うことができます。

 また、ご質問にある遺伝についてですが、アレルギー性鼻炎の遺伝的素因は重要です。アレルギーにならない素因が優性に遺伝すると言われていますが、その一方で発症要因は複雑であり、今のところ十分に解明されていません。

 ある文献には、アレルギー性鼻炎は遺伝的素因があり、両親のどちらかがアレルギーの場合は、その子どもの56%がその素因を受け継ぎ、両親ともにアレルギーの場合、その数値は70%に上るとあります。また、環境要因や感情要因も大きな影響を及ぼすと言われています。

 もし花粉症で鼻症状のある方は、鼻腔粘膜の状態を的確に把握し、判断のできる耳鼻咽喉(いんこう)科を受診することをお勧めします。

徳島新聞2010年3月28日号より転載

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