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【質問】 激しい頭痛 改善しない

 29歳の女性です。18歳のときから摂食障害で精神科・心療内科に通院しています。職には就いておらず、社会に出たこともありません。現在は病院へ行くことも怖くて、親に薬をもらっています。2年前から頭痛が激しく、よくなりません。どのように治療したらよいのでしょう。



【答え】 摂食障害 -自分の問題点 まず理解を-

徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 友竹正人

 拒食症で著しい低体重をきたしているのであれば、低体重に起因する重篤な身体合併症を早期に発見し、適切な治療を受けるためにも、医療機関への定期的な受診が必要となります。

 また、相当な低体重の場合は、低血糖を起こす恐れがあるため、普段の生活でも注意が必要です。就寝前に何か少しでも口に入れるようにしておくと、翌朝の低血糖のリスクを減らすことができます。

 一方、過食症でそれほど低体重になっていないのであれば、医療機関へ定期的に通院しなくても、カウンセリング施設で精神療法(心理療法)を継続的に受けることで症状の改善が期待できます。過食症に対して有効性が実証されている心理療法には、認知行動療法と対人関係療法の2つがあります。

 認知行動療法では、食行動や、体形・体重に対する偏った考えを修正していくようなやり方で治療が行われます。この治療法を専門にしているカウンセラーの先生に、継続的に治療を受けるようにされるとよいと思います。

 対人関係療法は、直接食事の問題を取り扱わず、食事の悪化と関連した家族や親友、恋人などとの対人関係の問題をテーマにして治療が行われます。一般向けの分かりやすい本がいくつか出ていますので、自分の問題を理解するためにも一度読んでみてはいかがでしょう。また、過食症では一部の抗うつ薬の有効性が報告されています。もし、そのような治療を受けていないなら、一度、受けてみる価値はあると思います。

 摂食障害は、さまざまな要因が関与して起こり、その状態が続きますが、重要な要因に対人関係の問題があります。人付き合いで自信が持てず、対人緊張が強かったり、不信感を持ったり。また、うまく自己主張できなかったり、人に気に入られようとして過剰適応などを続けたりすることで、知らず知らずのうちにストレスがたまり、それが食事の問題を引き起こすきっかけになっていることがとても多いのです。

 このような対人関係上の要因が大きい場合は、単に食習慣を修正するやり方だけでは難しいでしょう。また、このような対人関係の特徴は、治療者との間でも起こるため、安定して治療を受けることを難しくさせる要因となります。

 すぐに通院を再開したり、カウンセリング施設に行くのが難しかったりする場合は、本などを読みながら病気についての理解を深め、自分で問題に取り組んでみるという方法もあります。認知行動療法などの原理に基づいたやり方で、自分で問題に取り組む「セルフヘルプ」に基づいた治療のやり方を解説している本がいくつか出ています。

 まずは、自分の問題をよく理解することが重要です。前述の精神療法を受ける場合にも、自分自身の問題を十分に理解した上で、自らが進んで治療を受けるという心の準備ができていることが必要です。

 しかし、まずはあまり力まず、心の準備ができていない状態でも、自分の問題について医師に話をしてみてください。そうしながら自分の問題をじっくり考えていくことが大切です。話をするためには、ある程度診察時間を確保してくれる病院に通うのがよいでしょう。

 頭痛については、心理的なストレスによって筋緊張をきたし、それが誘因となって起こる場合もありますが、あまりひどい状態が続くようであれば、一度専門の医師に診てもらい、検査を受けてみてはいかがでしょうか。

徳島新聞2009年9月27日号より転載

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