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【質問】 悪性に変わらないか心配

 60代の女性です。先日、健康診断で「胃粘膜下腫瘍(しゅよう)」と指摘されました。今のところは良性なのですが、悪性に変わらないか心配です。これからどのように様子を見ればよいのでしょう。悪性になった場合の治療方法なども教えてください。



【回答】 胃粘膜下腫瘍 -病変の大きさ 正確に検査-

冨田内科胃腸科クリニック 冨田 作(徳島市南田宮)

 胃粘膜下腫瘍とは、胃の粘膜より深い胃壁内に発生した腫瘍のことで、病変が大きくなるにつれ、表面に腫瘍やくぼみを形成することがあります。また、良性・悪性いずれの場合もあります。

 胃粘膜下腫瘍は、<1>消化管間質腫瘍(GIST)<2>脂肪細胞由来の腫瘍<3>血管内皮細胞由来の腫瘍<4>平滑筋細胞由来の腫瘍<5>神経系腫瘍<6>顆粒(かりゅう)細胞腫<7>基底細胞由来のカルチノイド-など、由来細胞によっていくつかの種類があります。このうちの一部に、悪性度の高いものや転移するものがあります。

 腫瘍が小さければ、胃の検診などの際に偶然発見されることがありますが、悪性で腫瘍が大きくなった場合は、腫瘍が崩れて出血し、吐血を生じることがあります。さらに転移をすると胃ガン同様、さまざまな症状が認められます。

 診断は、胃のエックス線検査や内視鏡検査を用います。表面に潰瘍(かいよう)などができて病変が露出している場合には、その一部を採取して調べる生検で、手術が必要か様子をみてよいかなどを判断する病理診断が可能です。しかし多くの場合、粘膜下に病変があるため、通常の生検では診断が困難です。

 そのため、超音波内視鏡や、超音波内視鏡下での生検などを行っている施設もあります。そのほか、腹部超音波や腹部CTなどもありますが、3cm以上の病変でないと診断は困難です。

 治療に関してですが、一般に大きさが2cm以下の場合は、年に1回程度の内視鏡検査などで定期的に観察を行い、2~5cmの腫瘍には、腹腔鏡(ふくくうきょう)補助下で局所の切除を行うことが推奨されています。

 さらに、大きさが5cm以上の場合は悪性腫瘍の可能性が高いため、手術を行うことが原則です。小さな腫瘍でも、経過観察中に大きさや形態に変化が見られたり出血などを伴ったりしたときは手術をします。

 ご質問の場合、まずは内視鏡やエックス線検査で正確な病変の大きさを知ることが必要です。潰瘍があると、生検で病理診断が可能な場合もあります。

 腫瘍の大きさによって、その後の治療は違ってきます。2~5cmの大きさであれば、超音波内視鏡下の生検で病理診断を行うことが望ましいと思いますが、診断のつかない病変に対しては、厳重なフォローや腹腔鏡下の部分切除術が推奨されます。

 主治医の先生と十分ご相談されることをお勧めします。超音波内視鏡検査に関しては、総合病院の消化器内科にご相談ください。

徳島新聞2009年9月13日号より転載

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