【質問】 就寝中ふくらはぎにけいれん
65歳の女性です。毎日、就寝中にふくらはぎにけいれんが起こります。体位を変えたり、マッサージしたりするとよくなりますが、けいれんがきついときはふくらはぎに痛みが残ります。漢方薬の芍薬(しゃくやく)甘草湯(かんぞうとう)を飲んでいますが、効き目がないように思います。歩くと左ひざの内側に痛みがあり、足を内側に回すと痛みが強くなります。どんな病気か教えてください。
【答え】 こむらがえり -保温や軽い運動、効果的-
森本整形外科 森本 博之(徳島市津田本町)
ふくらはぎ(こむら)に起こるけいれんは、筋肉が急激に固く緊張して緩められなくなった状態で、激痛を伴うこともあります。一般に「こむらがえり」と呼ばれています。
こむらがえりは、疾患の有無にかかわらず誰にでも起こり得ます。原因は運動不足や過激な運動から、筋肉の動きに関係するナトリウムやカルシウム不足など電解質異常、水分量の低下につながる脱水や下痢、下肢の静脈瘤(りゅう)、変形性脊椎(せきつい)症、肝硬変、腎(じん)不全、糖尿病までさまざまです。
治療ですが、芍薬甘草湯は鎮静・鎮痙(ちんけい)・鎮痛・末梢(まっしょう)血管拡張作用のある芍薬と、鎮静・鎮痛・抗炎症作用のある甘草の2種類の生薬で構成され、即効性のある漢方薬です。
1日3包(7.5グラム)を食前または食後に2~3回に分けて服用、急激に起こる筋肉のけいれんを伴う疼痛(とうつう)、過労性筋肉痛、急性腰痛症、座骨神経痛、捻挫(ねんざ)、腹痛などに効果があります。体質の強弱にかかわらず用いられますが、続けて服用することは少なく、痛みが生じたときに使うか、他の処方と併用します。
夜間にのみ起こるこむらがえりには、就寝前に芍薬甘草湯1包を服用します。1包で効果が得られない場合は少し増量してください。冷え症がある場合には芍薬甘草湯に、血管拡張作用のある附子(ぶし)を加えた芍薬甘草附子湯を服用するとよいでしょう。就寝中にふくらはぎが冷えないように保温しておくことは、こむらがえりの効果的な予防法です。
質問の人は、65歳の女性とのことです。歩行時に膝(ひざ)内側の痛みがあり、足を内側に回すと痛みが強くなるとのことから、変形性膝関節症が考えられます。
変形性膝関節症は大腿骨(だいたいこつ)と脛骨(けいこつ)の軟骨が膝関節の内側ですり減り、炎症を起こして痛みが出てきます。О脚変形があれば、サポーターや支柱付きの装具で膝を安定させるか、あるいは膝が外側に反るように足底装具を着けると痛みが和らぎます≪図参照≫。
膝の痛みが軽くなれば、関節の周りの筋力を鍛えます。毎日、短時間のウオーキングを続けるのも良いと思います。運動することで足の筋力が増すとともに血行も良くなり、膝痛もさらに軽減します。適度な運動により、就寝中のこむらがえりの減少も期待できます。
変形性膝関節症以外に関節リウマチ、あるいは腰の異常が膝の痛みを招くことがありますので、整形外科の受診をお勧めします。