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【質問】 日に日に増す手足の痛み

 63歳女性です。11年前、皮膚筋炎と診断されて入院しました。それから1日1錠、ステロイド剤のプレドニンを飲んでいますが、血液検査で炎症度を示すCRPが2.02、PAPAで180と高くなっています。昨年末から足裏に痛みがあり、足底筋膜炎と診断されました。以来、足底板をつくって使用しています。両手首も腫れて痛みがあり、サポーターをしています。最近は家の中を歩くのにも痛みと違和感(腫れ)が増しており、歩けなくなるのではないかと心配です。どうしたらいいのか教えてください。



【答え】 関節リウマチ -進行性のため早期治療を-

城東整形外科内科 岡田 祐司(徳島市福島1丁目)

〈早期関節リウマチ診断基準〉
 (日本リウマチ学会)
 1、三関節以上の圧痛または
   他動運動痛
 2、二関節以上の腫張(しゅちょう)
 3、朝のこわばり
 4、リウマトイド結節
 5、赤沈20ミリ以上の高値または
   CRP陽性
 6、リウマトイド因子陽性
 質問にあるPAPA検査とはRAPA(リウマトイド因子)のことだと思われますが、この方の場合、手足に痛み、腫れなどの炎症があり、血液検査でRAPAとCRPが陽性になっていることにより、関節リウマチが疑われます。

 関節リウマチとは、手足の関節の炎症を初発症状とし、次第にひじ、ひざ、股(こ)関節などの大きな関節にも症状が波及する進行性の病気です。炎症が関節の内膜である滑膜から軟骨、骨に及ぶと、関節が変形し日常生活にも支障をきたすようになります。関節以外にも発熱、体重減少、疲労感、リンパ節腫大、貧血などの全身症状や、血管炎、肺線維症、皮下結節など他の臓器にも病変を引き起こします。

 原因は、自己免疫反応(免疫反応の異常により自己の組織を攻撃する反応)が関係していると考えられています。症状が進行性のためできるだけ早く診断、早期から治療することが重要になります。日本リウマチ学会の早期基準《別表》によると、6項目のうち3項目以上を満たす場合、症状に応じて適切な治療を開始する必要があるとされています。

 関節リウマチの治療方法には<1>薬物療法<2>リハビリ<3>手術療法-の三つがあります。

 まず薬物療法ですが、リウマチの薬には痛み、炎症を抑える消炎鎮痛剤、ステロイド剤とリウマチの勢いを抑える抗リウマチ薬、関節破壊の進行抑制が期待される生物学的製剤があり、いずれも副作用を考慮しながら慎重に処方されています。従来は弱めの薬から段階的に治療内容を強くしていくピラミッド療法が採られていたのですが、最近では、早い時期から抗リウマチ薬を使用し関節破壊を防止するとの考え方が一般的となっています。どの薬も効果は患者さんの病状によって違いがあるため、服薬の中止や変更については主治医と十分相談するようにしてください。

 リハビリは関節の機能低下を防止、改善し、痛みやはれを軽減させるのが目的で、主治医が具体的なリハビリの計画を立て、それに基づき理学療法士や作業療法士が行います。痛みや疲労が翌日まで残ったり、リウマチの活動性が高いときなどは運動量を控え、それぞれの患者さんに適した量を毎日少しずつ継続することが大切です。リウマチ体操はリハビリの際に覚えるか、パンフレットを参考にして家庭でもマイペースで行えるので有用です。

 以上の治療の効果が乏しく症状が進行する場合には手術をすることになります。手術の目的は、痛みの軽減と関節機能の改善、変形の矯正などであり、これにより日常生活動作を改善しQOL(生活の質)を向上させることにあります。手術方法は部位によって異なりますが、滑膜切除術、腱再建術、関節の切除または固定術、人工関節置換術などがあります。いずれの手術も病状の進行状態や全身状態の詳細な把握、手術内容の十分な説明、患者さんおよびその家族の理解が必要です。

 さて、質問の人の場合、レントゲン写真を見ておらず、診察もしていないのではっきりしたことは言えませんが、早期リウマチ診断基準の3項目を満たしており、ステロイドを服用しているにもかかわらず関節症状が進行しているため、抗リウマチ薬の使用を考慮した方がいいのではないでしょうか。主治医とよくご相談ください。

徳島新聞2007年6月24日号より転載

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