徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

【質問】 神経質…夜眠れずに困る

 57歳の女性です。販売の仕事をしています。神経質なせいか気になることが多く、それが原因かどうかは分かりませんが、最近夜眠れずに困っています。仕事は、それほど忙しいというわけではありません。よくテレビで睡眠薬のコマーシャルを見かけますが、飲んでいいものかどうか迷っています。やはり一度、病院を受診してからの方がいいのでしょうか。教えてください。



【答え】 不眠症 -頻度と継続性が問題に-

田岡東病院 精神科 森口 和彦(徳島市城東町2丁目)

 夜眠れていないことにお困りのようですが、現代人の5人に1人が不眠に悩まされていると言われており、特別なことではありません。医学的な不眠症の定義としては、不眠が少なくとも1カ月以上、週3回以上続くとされています。「最近眠れていない状態」が、どの程度の頻度で、どのくらい続いているかが重要になってきます。

 一般に睡眠時間は八時間以上とも言われていますが、個人差があり、人より長く眠らないといけない人もいれば短い人もいます。実際に眠れているかを確かめる意味で、睡眠日記を付けてみるのも一つの方法です。

 小さいころ、学校の宿題で日記を付けたことがあると思いますが、それと同じように1日24時間の中で、どの時間に寝ていたかを記録するものです。およそ1週間の記録を付ければ、自分の睡眠パターンが把握できるし、医師に相談するときにも参考になります。睡眠時間が十分とれているのにもかかわらず、眠れている実感がなければ医師に相談してみましょう。

 一般的に不眠の種類や原因はさまざまです。寝付きが悪い「入眠困難」、途中で起きる「中途覚せい」、寝た気がしない「熟眠障害」、朝早く起きる「早朝覚せい」などに大きく分かれ、医師による問診が必要です。

 また、原因も環境によるもの(生活習慣、寝る場所)、身体疾患によるもの(疼痛(とうつう)、かゆみなど)、常用している内服によるもの(薬剤性)、睡眠障害特有の病状によるもの(睡眠時無呼吸症候群、むずむず足症候群など)、心因性によるもの(ストレス)、精神科疾患特有の病状によるもの(うつ病など)といったように多岐にわたっており、自己判断で薬を飲み始めることはお勧めできません。

 また、家族と同居しているのであれば、自分の寝室での様子を聞いてみる必要もあります。いびきがうるさい、寝息が止まる、歯ぎしりがひどい、足がむずむずしている、違和感がある、体動が多いなどの症状があれば、診断を決める情報にもなります。

 相談にあるように、市販薬を飲むことや、「寝酒」と称してアルコールを寝る前に飲む人、家族、友人の使用している薬を利用する人がいます。市販薬の利用で症状が改善しないのであれば、早めの相談を勧めます。「寝酒」は睡眠の深さを浅くし、病状悪化につながることが多く、お勧めできません。また、他人の薬は個人差があるため、あなたにあっているとは限りません。

 どこに相談するかは、一般内科や精神科でよいと思われます。最近では睡眠医学というジャンルが大きく取り上げられています。内科、歯科、精神科、耳鼻科などさまざまなジャンルの医師が睡眠医学に取り組んでいます。もし、近医に相談されても不眠の病状が続くなら、睡眠を専門にしている医師の受診をお勧めします。

徳島新聞2006年7月9日号より転載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.