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【質問】 体が冷えやすく疲れる

 30代の女性です。職場の冷房が寒いくらい強く、屋外との温度差に体がついていかずに苦労しています。いつも体温が低くて足がむくみやすい状態です。疲れやすく、けだるい感じもぬぐえません。特に朝は起き上がれず、めまいがします。このような症状が長引く場合、何か薬はあるのでしょうか。



【答え】 冷房病 -まず血液検査で原因を-

あい愛診療所撫養 院長 小川 裕子(鳴門市撫養町南浜)

 いわゆる「冷房病」と呼ばれている状態になっています。毎日、“亜熱帯”と“北極”の往復は大変です。「冷え」を取る薬はありますので、“北極”の部分をましにしましょう。

 西洋医学よりは、漢方薬に代表される東洋医学が得意な分野です。医師が役に立てるのは、内科的病気が隠れていないか診察する、また急場をしのぐ漢方薬を処方する、の2点ぐらいです。自分の体と相談しながら生活に気をつけることで、あなた自身が治療者になれます。

 まず、私は内科医なので「30代の女性で体温が低く、むくみやすい」と聞くと、一度は貧血や甲状腺機能低下症の可能性がないか、チェックすることをお勧めします。近くの内科医に、「冷えて甲状腺などが心配なので」と伝え、診察を受けましょう。血液検査で分かりますが、結果が出るまでには数日かかります。

 さらに診察後「冷えがましになる薬はありますか」と聞いてもらえれば、漢方薬などに興味を持つ医師なら、あなたにぴったりの「冷え」を取る薬を処方してくれるでしょう。

 煎(せん)じ薬でなくても健康保険が適用される「エキス剤」と呼ばれる顆粒(かりゅう)状の薬で十分です。「冷え」にもいろいろタイプがありますから、同じ「冷え」でも、その人に合わせて処方される薬はさまざまになります。

 東洋医学的所見からあなたに合う薬を選んで処方してもらえば、一服飲むと体が温まるのが分かると思います。職場が冷えるなら仕事前に、暑がりの家族と過ごすならその前に、冷える状況と薬を飲むタイミングを考えるようにします。

 代表的なものに「当帰(とうき)四逆(しぎゃく)加呉(かご)茱萸(しゅゆ)生姜湯(しょうきょうとう)」などがあります。漢方薬を処方してもらえない場合は、自分で少し勉強して試してみましょう。最近いろいろな女性誌での特集などもあります。効いたかどうかは、自分が一番よく分かります。

 最後に、毎日の生活での対策を述べます。服装では特に首、足首を冷やさないようにします。また、機会があれば、ずっと座っておらずに動きましょう。筋肉を動かすと熱が生産されるからです。腰掛けて、足首の曲げ伸ばしをそっとするだけでも違います。

 盲点になっている食べ物については、夏が旬のもの、熱帯で収穫されるものは、冷房のない暑いところで暮らす人向きなので、避けましょう。また白砂糖、生野菜も体を冷やします。ショウガなど体を温めるものを紅茶に入れたり、料理に使ったりしましょう。昔の海水浴後のショウガ入りのあめ湯は、生活の知恵ですね。

 残暑が続いていますが、夏もあと少し。あなたが少しでも楽になれるようにお祈りいたします。

徳島新聞2005年8月21日号より転載

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