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【質問】 小6の息子 喫煙が心配

 小学校6年生の息子のことで相談します。夏休みごろから、たばこを吸っているようで、体への影響を心配しております。隠れて吸っているのですが、息子も反抗期に差し掛かり、親として、どのように子どもに注意すればいいか悩んでいます。どこに相談すればいいのでしょうか。学校医の先生に相談するべきなのでしょうか。



【答え】 ニコチン依存症 -「しかる」より「治療」を優先-

中瀬医院 中瀬 勝則(徳島市富田橋1丁目)

 夏休みは、好奇心や友達の誘いなどにのって、小学生が、たばこに手を出しやすい時期といわれます。5月1日に、受動喫煙の防止を義務づけた健康増進法が施行され、たばこを吸う大人は、少しずつ減少していますが、子どもの喫煙は着実に増える傾向にあります。また、吸い始めの低年齢化が心配されています。

 ある地方都市で実施された喫煙に関する小学生を含めた大規模調査では「吸ったことがある」と答えた小学生は低学年で7%、高学年で約11%にのぼり、たばこをやめたくてもやめられなくなる「ニコチン依存」に陥る小学生も少なくありません。

 大人は、たばこを吸い始めてから、やめられなくなるのに、数年から10年かかりますが、子どもは、わずか2週間から数カ月の短期間で重度のニコチン依存に陥ります。ニコチンが切れるとイライラしたり、落ち着きがなくなるなどのニコチン離脱症状が強く表れるため、本当はやめたくてもやめられずに一人で悩み苦しみ、親に隠れて吸ってしまうのです。

 そこに「やめなさい」と喫煙の害を説いても、最初は反発されるだけです。それは大人も子どもも一緒です。自分の意志だけでは、なかなかやめられないから反抗的になるのです。

 たばこの中のニコチンは、麻薬やアルコールと同じ依存性薬物です。依存性の高さはヘロイン並みといわれています。また、たばこは、毎日吸うことで、心理的にも依存してしまいます。実はこの二つの依存が”たばこ病“の正体なのです。たばこがやめられないのは、れっきとした依存症という病気であって、特に小学生の場合は「しかる」ことよりも、早急な医学的な「治療」を優先します。

 子どものニコチン依存症の治療には「ニコチンパッチ」という張り薬が有効です。子どもは大人より依存症になりやすい半面、薬の効き目も早く、数日間張るだけで、たばこが吸いたくなくなるようになります。

 これは、パッチからニコチンがゆっくりと体に吸収され無理なくニコチン切れの禁断症状を抑えるためです。お子さんの場合も、まず頭ごなしにしかるのではなく、どうしてたばこを吸うようになったのか、真剣にじっくりと耳を傾けてください。きっと、いろいろ話してくれます。そのあとでニコチンパッチなどを用いた有効な禁煙方法があることを教え「治療をすれば治る病気なんだよ」と安心させてあげることが重要です。

 相談は、学校医の先生でもいいですが、もしも心配なら、県内の禁煙を支援する病院の禁煙外来で治療を受ければ、思ったより楽に禁煙を始められます。

 しかし、一度、禁煙できても、問題はその先にあります。友達づきあい、親の喫煙、そして家庭に吸い殻や封の開いた「たばこ」があるかぎり、50%以上の子どもが再喫煙してしまうのです。

 これを防ぐには、学校でのライフスキル教育(感情やストレスへの上手な対処、仲間の誘いを断る技術など)を取り入れた喫煙防止教育と、地域、家庭、医療の連携による息の長い禁煙支援が必要とされます。県医師会でも積極的に禁煙キャンペ-ンに取り組んでいます。

徳島新聞2003年11月23日号より転載

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