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【質問】 寝る前に何回もおしっこ

 8歳の女の子ですが、1カ月くらい前から、夜の7時ごろから床に入る10時過ぎまでに、やたらおしっこをしたがり、10-12回くらいトイレに行きます。あまり水分は取っていないと思うのですが、行くと少しは出ているようです。近くの泌尿器科では「おしっこはきれい。行きたいだけ行かしたら」ということでした。学校に行っている昼間は、3、4回くらいしか行かないそうです。寝ている間は1回も行きません。甘えているのか、冷えているのか、親の私が神経質になりすぎているのか分からず、心配しています。8月ごろから6-7キロ太って体脂肪が23%になっています。このままあまり気にせずに放っておいてもいいのでしょうか。



【答え】 心因性頻尿 -精神療法が主体、受容的態度で-

かなめ小児科内科クリニック 院長 岡田 要(麻植郡鴨島町牛島)

健康な小児の1日の尿量と排尿回数
年齢
1日の尿量
(ミリリットル)
排尿回数
新生児
  50~  300 6~13
乳児
 350~  550 14~16
幼児
 500~1,000 8~12
学童
 700~1,400 7~ 9
成人男子
 800~1,800 4~ 6
成人女子
 600~1,600 4~ 6
「今日の小児診断指針第3版」
門脇氏調べ=医学書院より
 排尿間隔が2時間未満で、年齢標準回数より多くなっている場合を頻尿といいます。参考のために、健康な小児の1日の尿量と排尿回数を〈別表〉に示します。

 原因となる病気には、次のものがあります。

 <1>尿量増加(多尿)によるもの 糖尿病、尿崩症では、たくさん水を飲む(多飲)結果、膀胱(ぼうこう)容量を上回って多量の尿が作られるために頻尿となります。また、腎機能障害を有する腎臓病(慢性腎不全、水腎症、のう胞腎など)のときにも、水のような薄い尿が多量に出るために起こります。

 <2>膀胱容量の減少によるもの 作られる尿量が普通でも、膀胱に十分な量の尿をためておくことができなければ頻尿になります。例えば、骨盤内の大きな腫瘍(しゅよう)や妊娠などにより、外部から膀胱が圧迫されると起こります。また、膀胱内に大きな腫瘍や結石があっても起こります。後者の場合、しばしば尿に血が混じります。

 <3>膀胱の被刺激性が高いもの 炎症(ただれ)により膀胱が著しく刺激され、尿意を頻繁にもよおすと頻尿になります。その代表が膀胱炎で、頻尿以外に、尿をするときに痛む排尿痛や、不快な残尿感を伴います。

 <4>心因性 原因となるべき体や尿の異常がなく、精神的不安や葛藤(かっとう)などが主因となって生じる頻尿を心因的頻尿といいます。

 原因を明らかにするため、一般に検尿、血液検査、腹部のレントゲン撮影、腹部エコー検査などが行われます。体に頻尿をきたす原因疾患がある場合は、個々の病気に対する治療が必要です。

 心因性頻尿の場合は、精神療法が主体になります。環境的、心理的な問題があるかを検討し、現実的な調整を行うことにより、症状の改善を図ります。本人自身が主体的に問題の解決に当たることが原則ですが、家族も病気を理解し、支持あるいは受容的態度を示すことが必要です。例えば、排尿を我慢させるような行動療法は、尿意に意識が固定されるため禁物です。いつでも自由にトイレに行けるようにし、尿のことは気にならないというような暗示を与えることが大切です。

 さて、相談の件ですが、夜7-10時までに10回以上トイレに行くことから、頻尿であることは間違いありません。飲み水の量は少なく、検尿正常、夜間の排尿がないことから、糖尿病、尿崩症、膀胱炎、腎疾患などの器質的疾患は考えにくく、心因性頻尿の可能性が高いと思われます。また、肥満と呼ぶべき状態なのかどうかは分かりませんが、6-7キロの体重増加も、頻尿と同じく心理的要因に基づくものかもしれません。

 子どもとの自然な接触や対話を通じて、環境的あるいは心理的な問題があるかどうかを検討してください。

 心因性頻尿の治療を参考にして、しばらくは経過をみてはどうでしょうか。もし症状がよくならなければ、小児科などの医療機関を受診してみてください。

徳島新聞2003年11月16日号より転載

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