【質問】 薬使っているが害はないか
35歳の女性です。便秘がひどく、いつも市販の浣腸(かんちょう)薬(週に2回、30グラム4個)を使用していますが、テレビで「常用すると腸に悪い」と聞き心配しています。このまま使用し続けてもいいでしょうか。どのような薬が、体に害を与えないのでしょうか。器具の使用前後の消毒法も教えてください。
【答え】 便秘 -治療の基本は食生活から-
関内科・消化器科 関 啓(徳島市仲之町4丁目)
排便習慣には、個人差が大きく、一般的には、数日間以上、排便がみられず、腹部膨満感などの不快な症状を伴うものを便秘と言います。また、便秘のしくみも複雑で、原因も多岐にわたりますが、文面から判断して、あなたの便秘は、大腸に器質的疾患(がんや炎症など)もなく、大腸の運動の低下による弛緩(しかん)性便秘と考えられます。
なかでも、直腸性の排便困難が最も多い便秘のことです。直腸(肛門より30センチ奥側)内に糞便(ふんべん)があるにもかかわらず、排便をみないもので、便意があっても抑制する習慣によって、習慣性便秘症となります。
便秘解消アドバイス 1.起床時に牛乳を飲む 2.便意を感じたらトイレに行く 3.主食はパンよりもご飯を 4.食物繊維の多い食品を 5.乳製品・香辛料も有効 |
【<1>日常生活の注意】
朝の起床時、冷たいお茶か水、もしくは牛乳を飲むとよいでしょう。次に朝食です。胃に食物が入ると、胃-小腸-大腸と運動が亢進(こうしん)します。多少とも便意を感じたら、必ずトイレに座る習慣を付けましょう。時間的余裕も重要です。
【<2>食事の注意】
主食は、消化のよいめん類やパンよりも、含有されるでんぷんの一部が食物繊維として働くご飯の方がよいでしょう。そのほかに、食物繊維の多い野菜、芋類、海草、キノコ、コンニャク、果物、さらに腸管に刺激を与える牛乳・乳製品、香辛料なども有効です。
【<3>薬物療法】
以上の生活上の注意だけで、十分な効果が得られない場合には、下剤を使用します。下剤には薬理作用が強く約2-6時間後に排便を促す峻下剤(しゅんげざい)と、緩和に作用し8-12時間後に効果のある緩下剤があります。
さらに、漢方薬も有効です。主に大黄を含む漢方薬で、代表的な大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)、調胃承気湯(ちょういじょうきとう)をはじめ約15種類あります。治療は、これらの薬を組み合わせて行いますが、個人差も大きく使用量も異なります。
最後に、グリセリン浣腸薬のことですが、これは、直腸内にたまった硬い便を排出するときに、一時的に使用するものです。連用していると、直腸・肛門機能が弱くなります。
器具は使い捨てのものがあるので、専門医でもらってください。器具は家庭では十分な消毒ができません。
あなたの便秘は、かなり頑固そうです。近くの先生に相談してみてください。少し時間がかかるとは思いますが、あなたの体に合った薬がきっとあるはずです。もちろん、生活上の注意はよく守ってください。
徳島新聞2003年11月9日号より転載