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【質問】 尖圭コンジロームでは?

 恥ずかしい相談ですが教えてください。包茎ではないのですが、亀頭の部分に白いブツブツがあります。最初は恥垢(ちこう)と思って入浴したときに、洗っていましたが効果がありません。尖圭(せんけい)コンジロームではないかと思っているのですが、そうなんでしょうか?セックスの経験はまだないんですが、感染したのでしょうか?不安で仕方ありません。(上板町、男性)



【答え】 真珠様丘疹 -心配なら念のため診察を-

吉田医院 吉田 泰(徳島市新内町1丁目)

 年齢が書かれていませんが、質問者は中高校生くらいの男子と察します。

 診察していないのではっきりとは言えませんが、尖圭コンジロームではないと思います。白いブツブツは亀頭部の下側に規則的にできたものと思われ、真珠様丘疹(きゅうしん)と考えられます。コンジロームはブツブツが大小混じり、並びも不規則です。真珠様丘疹は感染の心配もなく、治療の必要もありません。ただ、念のため皮膚科や泌尿器科の診察を受けてください。

 以下、質問の男子が心配している尖圭コンジロームについて述べます。1975年にWHO(世界保健機関)で「性感染症(STD)」という言葉が採用され、従来の性病(淋病(りんびょう)、梅毒、軟性下疳(げかん)、鼠径(そけい)リンパ肉芽腫(がしゅ))以外に尖圭コンジロームをはじめ、エイズ、性器ヘルペス、クラミジア感染症、トリコモナス膣(ちつ)炎、疥癬(かいせん)、毛じらみなどもSTDに含まれるようになりました。

 コンジロームには尖圭コンジロームのほか、扁平(へんぺい)コンジロームがあります。これは梅毒二期の丘疹性梅毒疹で、肛門(こうもん)周囲、大小陰唇、陰嚢(いんのう)などに見られる梅毒反応強陽性の危険なものです。

 尖圭コンジローム(尖圭湿疣(しつゆう)とも言う)は、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)によって発症するウイルス性疾患です。好発部位は、男性では陰茎冠状溝、亀頭包皮、女性では外陰粘膜、膣壁、子宮膣部、肛門周囲です。特に子宮膣部にできたものは、悪性の病変と鑑別のため組織的検索も必要となります。

 診断は通常、臨床像で分かります。前述の皮膚と粘膜の移行部や湿潤した部位に表面顆粒(かりゅう)状で、乳頭状、花野菜状、鶏冠状などに増殖し、多発する傾向があります。色は紅色または赤褐色です。角化傾向は少なく浮腫状で、毛細血管が多く弾力性軟です。

 一般に自覚症状はありませんが、かゆみ、性交時の痛み、肛門部からの出血(女性)などを訴えることがあります。感染してから発症までの潜伏期間は1~6カ月で、平均3カ月くらいといわれています。

 尖圭コンジロームの治療には電気焼灼(しょうしゃく)、液体窒素による凍結療法のほか、薬物療法としてポドフィリン(国内では市販されていない)、抗腫瘍(しゅよう)剤(5FU軟骨ブレオマイシン軟膏)の外用療法があります。この軟膏は正常な皮膚、粘膜に対する障害作用が強く、慎重に用いる必要があります。外科療法は2~3個以内か、薬物療法が困難な大きなものなどに用います。なお、非常に再発しやすいので、根気よく治療を続ける必要あります。

 予防としてはコンドームを使用することです。ただし100%の予防効果はないようです。女性で妊娠に合併した場合、HPVの胎内感染による異常児の発生はほとんどありませんが、出生時、産道内で感染し、後に喉頭(こうとう)乳頭腫を発生との報告もあり、多発性の場合は、帝切して経腹的分娩(ぶんべん)を提唱する人もいます。なお、女性の特に子宮膣部にできた場合は将来、子宮癌(がん)になる可能性がないとはいえないので年一度の子宮経癌の検査を受けておいた方がよいでしょう。

徳島新聞2003年4月13日号より転載

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