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【質問】 肩と首の凝りがひどい・・・

 40歳の女性です。4~5年前から肩と首の凝りを感じるようになり、年齢とともにひどくなっています。首が動かなくなったり、頭痛や吐き気がしたりして、寝込んでしまうこともよくあります。ここ1年ほどはブラジャーを付けることさえ苦痛になり、肩と背中(上部)の痛みで1時間も付けていられなくなりました。マッサージなどに行っても、効果がありません。慢性の凝りで、すっきりとした日はありません。どうしたらいいのでしょうか?



【答え】 頚肩腕症候群 -頚椎部のMRI検査を-

国見医院 国見 欣也(美馬郡穴吹町穴吹)

 質問から判断すると、これらの症状全体について最も考えられる病名は、整形外科領域では頚肩腕(けいけんわん)症候群です。この症候群とは、一つ一つの症状を大きく一つにまとめた症状のかたまりで、頚部(首)、肩関節部、上腕前腕部における凝り、痛み、しびれなどの諸症状を一つにしたものと思ってください。


 実際に診察してみないと、はっきりしたことは述べにくいのですが、40歳の女性ということで、注目したいのは全身状態で、特に姿勢です。4~5年前より首、肩凝りを訴えているので、そのころから姿勢がどの様に変化してきているのかが問題点と思います。分かりやすく述べると「癖のある姿勢」と推察され、これによって徐々に頚椎の周辺の症状が現れてきたと考えられます。

 頚肩腕症候群の原因が肩関節周辺にも存在することがありますが、質問の女性の場合は頚椎部に問題があると思われます。最初は肩凝りで始まり、頚部が痛んだり、動かなくなったりし、頭痛、吐き気までも伴ってくる場合には、頚椎椎間板ヘルニアが疑われます。頚椎椎間板ヘルニアは、一般的によく言われる「腰のヘルニア」と同じようなことが、頚椎に起きていることです。頚椎椎間板ヘルニアの場合、後方に存在する神経(神経根、頚髄)を圧迫させないようにしなければなりません。現時点では神経障害は現れていないようなので、小さな頚椎椎間板ヘルニアと思います。また、肩と背中の痛みは、「関連痛」(原因部位に関連した痛み)であり、頚椎椎間板ヘルニアの存在場所を推測させてくれる兆候の一つでもあります。

 頚椎部の検査ですが、一般的には頚椎レントゲン検査があり、頚椎全体の所見(姿勢、頚椎の動き方、頚椎の変形など)を判読します。また、頚椎MRI検査も行います。特に頚椎部のより詳細な所見(頚椎椎間板の変性、突出、靭帯(じんたい)骨化、頚髄・神経根への圧迫など)を判読します。主にこの2つの検査方法の結果、頚椎の状態が分かります。これらの検査を受ける方がよいと思います。

 次に治療の方法について述べます。頚椎椎間板ヘルニアによる頚肩腕症候群は急性期、慢性期を問わず、保存療法を第一選択とします。急性期の安静、固定療法から始まり、頚椎牽引(けんいん)療法、温熱療法、理学療法、運動療法、装具療法に至るもの、さらに内服剤(消炎鎮痛剤、筋弛緩(きんしかん)剤など)、外用剤(消炎鎮痛剤入り湿布、座薬など)の使用、圧痛点への局所麻酔剤による注射法を組み合わせます。相談の女性のように慢性化傾向が認められ、加えて周りの不適切な助言などが憎悪因子となり、症状の先行きに不安がある場合には、安定剤(マイナートランキライザーなど)の併用も効果的と思います。頚椎椎間板ヘルニアによる頑固な頚肩腕症候群では、頚椎持続牽引法、および頚部交感神経ブロック療法を受けられても十分、効果は認められます。しかし、神経障害が認められるときには、手術療法を行うこともあります。

 日常生活において、体調の良い時には、適度な全身運動を取り入れ、体全体の緊張を和らげるのも良いと思います。基本的には、脊椎(背筋)に負担をかけない正しい姿勢を取るように心掛けてください。不明な点については、近くの整形外科専門医を受診されることを勧めます。

徳島新聞2003年4月20日号より転載

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