【質問】 飲酒すると全身に発疹が出る
20代半ばの夫のことで相談します。夫はアルコール類を飲むと全身に発疹(ほっしん)が出ます。大きさは直径1~2mm程度で赤く、ぶつぶつと現れる場所もあれば20~30cm四方の皮膚全体が赤く腫(は)れているところもあります。かゆみはなく酔いがさめるころには消えています。夫は気にもとめていません。1回に飲むアルコールの量はビール350ml程度です。夫の両親、親族に発疹が出る人はいません。なぜ発疹が出るのか、なにか対処法はないのでしょうか。
【答え】 じん麻疹 -問診でアレルギーか判断-
白井皮膚科 院長 白井 志郎(徳島市佐古四番町)
ご主人は恐らくじん麻疹(ましん)でしょう。じん麻疹は体のあちこちに蚊(か)に刺されたような大小のみみず腫れが発生し、強いかゆみを伴います。よくみられる病気で、15~20%の人は一生のうちで一度は経験するといわれています。普通は数時間で消えますが、1日以上消えないこともあります。この反応が2~3週間で治まるものを急性じん麻疹、1カ月以上続くものを慢性じん麻疹と呼びます。
じん麻疹は、食物や薬物などのアレルギーで起こる場合や、ベルトの圧迫による物理的刺激、温かさ冷たさなどの温熱刺激、日光による刺激など、日常生活上であらゆるものが原因となる可能性があります。
急性じん麻疹では、アレルギーがかかわっている割合が高く、原因が特定されることも多いようです。これに対し、慢性じん麻疹では、アレルギーが関与する割合は数パーセントに過ぎないといわれており、なかなか原因を突き止められません。原因を簡単な〈表〉にしてみました。
アレルギー性 | 非アレルギー性 | |
内因性 | かぜなどの感染症 虫歯 | ストレス 内臓の病気 |
外因性 | 食物・薬物アレルギー ダニなどのアレルゲン エビなどに触れる | 皮膚の圧迫・ひっかく 温熱・寒冷 日光 |
じん麻疹と診断することは、問診や皮膚症状から容易ですが、原因はなかなか見つけられません。この場合は検査になります。温熱・寒冷負荷、日光照射、皮膚の圧迫などや、疑わしい食物、薬を用いてじん麻疹が起こるかどうかの検査をします。血液検査も参考になりますが、結局は原因が分からないことが多いようです。
じん麻疹の対策は、原因がはっきりしている場合は、原因物質に触ったり食べたりしないことはもちろん、刺激物、香辛料、酒は原因でなくてもじん麻疹を悪化させることがあるので制限しましょう。実際に起こってしまったら、かゆみを抑えるために患部を軽く冷やしたり、熱いふろをやめ、ぬるめのシャワーにしたりすることも大切です。
じん麻疹の治療は、赤み、かゆみを引き起こすヒスタミンの働きを抑える薬を内服します。副作用として眠気を訴えることがあるため、内服中の車の運転などを控える注意も必要です。また薬の種類が多いので、効果がないようならいろいろ試して自分にあった薬を見つけることが大切です。
じん麻疹も重症になれば、まれに窒息死することがあります。ご主人の場合はビールの酔いがさめたら消え、本人が気にしていないようなので、積極的に内服治療するかどうか判断に迷います。ビールの銘柄を変えることも一つの方法です。禁酒がベストですが、ささやかな晩酌の楽しみを奪うのも考えものです。もうしばらく様子を見られてはいかがでしょうか。
じん麻疹の対策は、原因がはっきりしている場合は、原因物質に触ったり食べたりしないことはもちろん、刺激物、香辛料、酒は原因でなくてもじん麻疹を悪化させることがあるので制限しましょう。実際に起こってしまったら、かゆみを抑えるために患部を軽く冷やしたり、熱いふろをやめ、ぬるめのシャワーにしたりすることも大切です。
じん麻疹の治療は、赤み、かゆみを引き起こすヒスタミンの働きを抑える薬を内服します。副作用として眠気を訴えることがあるため、内服中の車の運転などを控える注意も必要です。また薬の種類が多いので、効果がないようならいろいろ試して自分にあった薬を見つけることが大切です。
じん麻疹も重症になれば、まれに窒息死することがあります。ご主人の場合はビールの酔いがさめたら消え、本人が気にしていないようなので、積極的に内服治療するかどうか判断に迷います。ビールの銘柄を変えることも一つの方法です。禁酒がベストですが、ささやかな晩酌の楽しみを奪うのも考えものです。もうしばらく様子を見られてはいかがでしょうか。
徳島新聞2001年10月28日号より転載