【質問】 常に足の裏が重く感じる
30代前半の女性です。足の裏の痛みで悩んでいます。痛いのか、凝っているのか分からないのですが、じっと座っていて立ち上がるときや、朝、目覚めて起き上がったとき、真っすぐ歩けず、しばらくは何かにつかまって歩いています。ずっと動いていると少しよくなりますが、常に足の裏が重く感じます。足のツボの図を見るとちょうど尿管、膀胱(ぼうこう)の場所です。どんな病気が考えられ、どこの科を受診すればいいのでしょうか。治療方法も教えてください。
【答え】 足底腱膜炎 -筋力の強化なども大切-
いわせ整形外科 院長 岩瀬 六郎(徳島市南出来島町1丁目)
ご質問の内容から「足底腱膜炎(そくていけんまくえん)」が最も疑われます。これは腱膜が炎症を起こして痛みを伴った状態をいいます。足底腱膜は、かかとの骨・踵骨(しょうこつ)から足指の付け根までの腱(すじ)のことです。〈図参照〉
この足底腱膜は強力な筋肉と腱からできていて、足のアーチの土踏まずを支える重要な役目を持っています。そのため、この部位に負担がかかり過ぎると、炎症が起き病気となるのです。
症状は起立時や歩行開始時の足底の痛みです。特に朝起きたときの第一歩に強い痛みを感じます。足底腱膜の起始部に当たるかかとの前内側を指で押して、痛みがあるかどうかで診断します。
肥満の人、筋力が著しく衰えた人などに起こりやすい病気です。体重が急に増えると、足のアーチを保とうとして腱膜が突っ張ります。その結果、腱膜がつながっている踵骨にストレスが集中します。この状態が繰り返されると腱膜炎になり、痛みも伴うようになります。筋力が衰えた場合も同様に足底腱膜に掛かる負担が大きくなります。
意外と見逃してしまう原因として、履物による障害があります。自分の足に合っていない靴を履いていると、足底腱膜に繰り返し刺激が掛かり、炎症が起きやすくなるためです。また、スポーツ選手でジョギングなどを過度に行ったときにもみられることがあります。さらに、べた足で土踏まずのない、いわゆる外反扁平足(へんぺいそく)の人など、足の形に異常がある人にも起きやすいようです。
足底腱膜炎以外の可能性として、わずかですが「足根管(そっこんかん)症候群」が考えられます。足底の知覚をつかさどる神経が圧迫されて足底のしびれ、痛みが起きます。起床時に強い痛みがある点は足底腱膜炎とよく似ていますが、神経の圧迫があるかどうかの診断で識別されます。
足底腱膜炎の治療法を述べます。足の裏に柔らかいクッションの効いた「足底板」を着けて足底腱膜への負担を減らします。変形の足の人は「アーチサポート」という用具で支持性をよくします。これらで痛みがかなり軽減します。足底板、アーチサポートは医師が患者さんに合わせて作りますが、市販もされています。
同時に痛みの症状に合わせて鎮痛剤を処方します。足底腱膜のストレッチや足底アーチを支えている筋の強化などのリハビリテーションも大切です。激しい痛みがある場合は、その部位に炎症を抑える注射をすることもあります。それでも痛みが治まらない場合には、足底腱膜を切り離す手術も考えられますので、一度整形外科の受診をお勧めします。