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【質問】 ひざが痛く体を起こせない

 77歳の男性です。6年前からひざ関節が痛く、整形外科で左右両ひざの水を毎年抜いています。多いときで1年に15回くらいに及びます。変形性ひざ関節症と診断されましたが、年々悪化して歩くのも痛くなりました。接骨院でマッサージをした日、その夜は別に変わったことはなく寝ましたが、翌朝ベッドで上半身を起こしかけると、左右の股(また)からひざまでの筋肉が痛く、ひざ関節がジーンとして体を起こすことができなくなりました。体を寝かせておけば、足を動かしたり、曲げたりできますが、痛みはあります。体を起こそうと、1時間半くらい足をもんだり、曲げたり伸ばしたりして、ようやく起きることができます。昼も歩行が不自由で、ひざが痛く、毎日シップを張っています。どうすれば良くなるでしょうか。



【答え】 変形性ひざ関節症 -生活困難なら手術検討-

城南整形外科 院長 藤田 巌(徳島市城南町1丁目)

 ひざ関節の痛みで、整形外科を訪れる人は多いですが、特に中高年の方に多く見られます。痛みの原因はいろいろあります。

 年代別に見てみると、小、中学生では外傷やスポーツ障害による痛みが多く、そのほかにも細菌感染、若年性関節リウマチ、骨髄炎、腫瘍(しゅよう)などがあります。青年期では外傷、スポーツなどによる打撲、ねんざ、骨折、じん帯損傷などが圧倒的です。

 そして、中高年になると、変形性ひざ関節症、離断性骨軟骨炎、慢性関節リウマチ、痛風、腫瘍などがあります。その中でも、変形性ひざ関節症による痛みを訴える方が圧倒的に多くなります。

 変形性ひざ関節症とは簡単にいえば、さまざまま原因によって、関節軟骨などが徐々に擦り減ったり、消失してきたりする退行性変化と、骨の棘(とげ)などが増殖してくる骨増殖性変化などによって、関節の構成体が破壊されていくものです。原因のはっきりしない一次性の場合と、原因の明らかな二次性のものとがありますが、大部分は原因のはっきりしない一次性の場合が多いようです。

 関節内にそのような変化が表れてくると、日常の立ったり座ったりする動作、階段の昇り降り、歩くときにひざの痛みが出てきます。さらに進んでくると、ひざの曲げ伸ばしが困難となり、正座不能、階段の昇降が非常につらく、歩くときもひざがガクガクし、内反屈曲変形(ガニまた)を来し、歩くのが非常に困難となってきます。

 そして、ひざがはれぼったく、水もたまってくるようになります。こうなると日常生活に大きな支障を来します。中高年の方で、ひざの痛みが続くようでしたら変形性ひざ関節症を考えておく必要があります。このような痛みが出てきましたら、次の点に気をつけてください。

 正座や和式トイレ、肥満などはひざに負担がかかります。なるべくいすの生活を心がけ、体重の増加に気をつけ、寝るのもベッドの方がよいと思います。クーラーなどの冷えは関節の痛みを増強させますので、軟らかめのサポーターで保温に気をつけます。歩くのは、足の筋肉を強くするのに大変良いことですが、できるだけ、つえを使用するのが良いでしょう。ただし、むやみに歩かないで、医師と相談してから実行してください。

 病院ではひざの温熱療法、ふとももの筋肉の訓練、関節内への注入療法(主にヒアルロン酸ナトリウムですが、痛みの強い場合などはステロイド剤の注入も)、そして消炎鎮痛剤の内服、はり薬などで治療していきます。水がたまっていればやはり水は抜いておくべきです。

 あなたの場合、今までいろいろ治療を続けてこられたと思いますが、それでも痛みが和らがず、日常生活動作にも大変困難を来している様子です。そこで考えられるのは手術療法です。

 総合病院の整形外科を受診し、レントゲン写真やCT、MRI検査、関節鏡などで総合的に診断し、手術的治療の適応があるかどうか、調べた方がよいと思います。手術方法は関節内の状態、軟骨、骨の破壊の程度により、関節鏡下手術、人工ひざ関節置換術など、いろいろな方法があります。

 保存療法を続けるか、手術療法がよいのか、検査の結果を踏まえて医師と十分に相談してください。

徳島新聞1999年7月18日号より転載

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