徳島県小児科医会 日浦恭一
川崎病は乳幼児に発生する急性の熱性疾患です。本症は1967年に川崎富作先生が発表されて以来25万人以上の報告がありますが、その原因は依然として不明のままです。最近の患者数は年間1万人以上であり徐々に増加傾向にあります。これまでにも何回か大きな流行を見ていますが、最近の発生数は流行時の発生数を上回っています。
本症は1月に最も多く発生し、次いで7月に多く、10月には最も少なくなります。
流行が見られることは川崎病の原因に感染症が関与していることが疑われますが、原因としての病原体は発見されていません。
川崎病は日本人に多く、韓国や台湾がこれに次ぎ、欧米では少ないことが知られています。つまり民族間の遺伝的背景の影響を受けて発生する疾患であると考えられます。
年齢別には生後9~11か月に最も多く、6か月未満の発生は少なくなっています。
症状としては原因不明の発熱が持続すること、不定形の発疹、頸部リンパ節腫脹、眼球結膜の充血、口唇の発赤や亀裂が見られることなどです。すべての症状が同時に見られることはありませんが、原因の明らかでない発熱が持続する場合には本症も考えておく必要があります。
川崎病の本態は全身の血管炎です。身体いずれの部位にも血管炎が発生する可能性がありますが、特に問題になるのは心臓の冠動脈に発生した場合です。急性期には冠動脈の拡張や冠動脈瘤が発生し、特に巨大瘤が発生した場合には生命に関わることがあります。川崎病にかかった人に対しては冠動脈病変の有無を長期経過観察する必要があります。
徳島新聞2012年5月9日掲載