徳島県小児科医会 日浦恭一
朝ごはん食べずに学校に来る子どもたちの体内はブドウ糖不足の状態になっています。ブドウ糖不足は学習能力や運動能力の低下を引き起こします。不足したブドウ糖を補うために筋肉組織が壊れて食欲中枢が刺激されると非常にキレ易い状態になっていることが窺われます。
朝ごはんを食べない理由の中で最も多いのは「食欲がない」です。朝食を食べない子どもの中で小学生では約半数、中学生では約3分の1がこの理由をあげています。さらに「食べる時間がない」をあげた小学生が約3分の1で、中学生では半数近くに上ります。両者を合わせると約80%になります。
「食欲がない」とか「食べる時間がない」という背景には子どもたちの生活習慣が夜型になっていることが考えられます。夜遅くまで起きている子どもを朝無理やり起こせば食欲はありません。時間ぎりぎりまで寝ていれば朝食を摂る時間もなくなります。
さらに朝食を食べない理由にあげられるものに「朝食が用意されていない」、「いつも食べない、家庭に朝食の習慣がない」というものがあります。
脳や体のエネルギーを補給するために朝食はとても大切なものです。朝食を摂らずに学校に行ってもブドウ糖不足では頭も体も効果的に働きません。
「早寝早起き、朝ごはん」という全国的な運動が展開されています。夜更かしで、朝ごはんを食べないという生活習慣を改善するには家族の協力が必要です。
徳島新聞2011年10月26日掲載