徳島県小児科医会 日浦恭一
乳児突然死症候群SIDSは睡眠時の覚醒反応に問題を持っている子どもに起こると言われます。普通の子どもでは睡眠中に生命に関わるような呼吸の異常が発生すると覚醒反応が起こり覚醒して呼吸が再開します。SIDSを発生する子どもでは呼吸が止まっていても覚醒せずに、呼吸が止まったまま睡眠が持続して死に至るものと考えられます。
またSIDSを起こす子どもには呼吸調節の異常があることや自律神経系に問題が見られることがあります。これらの異常な素因を持つ子どもが問題のある環境に置かれた場合にSIDSが発生すると考えられます。
SIDS発生の危険因子としては子どもの周囲での喫煙すること、母乳栄養でないこと、うつ伏せで寝ること、低出生体重であることなどが挙げられます。
以上のような素因と環境が関係してSIDSが発生しますが、大切なことはSIDSが原因不明の現象であり、事故や過失による窒息とは違うと言うことです。すべての突然死をSIDSとして取り扱うことは事故や虐待などによる外因死を見逃すことになりかねません。
今月は予防接種後に乳児が死亡したことについて、原因がSIDSと判定されたことから、SIDSについてお話ししてきました。このように多くの子どもにワクチンをしていると様々な紛れ込みの事象が含まれてきます。
予防接種の後に発生した症状であっても必ずしもワクチンが原因とは限りません。ワクチンを接種する時には十分慎重でなければなりませんが、いたずらに不安がる必要はありません。
徳島新聞2011年8月24日掲載