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徳島県小児科医会 日浦恭一

 発疹に発熱をともなう場合に最も多い原因疾患はウイルス感染症です。ウィルス感染症はそれぞれの特徴を持っていますが、すべてのウイルス感染症を一目見ただけで診断することは不可能です。診断には発疹の形態や出現部位、発熱や他の症状との関連など様々な情報が必要です。



 麻疹(はしか)は高熱の後に耳の後ろから発疹が出て全身に広がります。最初は紅斑(こうはん)ですが回復期には色素沈着を残します。風疹は発熱と同時に出現する紅斑ですが、風疹の流行していない時に発疹だけで診断をつけることは不可能です。ウイルス疾患を正確に診断するためには咽頭、血液、尿中からのウイルス分離や血中の抗体価の上昇を確認することが必要です。

 突発性発疹では3日間の高熱が持続した後に解熱と同時に発疹が出現します。生後6カ月から2歳未満でこのような経過をとる場合には突発性発疹と診断されます。突発性発疹の原因はヘルペスウィルス6型です。同7型ウイルスでも同様の経過をとることがあります。また夏かぜの代表的な原因であるエンテロウィルスの中には突発性発疹と同様の症状を示すものがあります。このように突発性発疹と区別が難しい疾患もあります。

 発熱と発疹が見られる疾患を正確に診断することの重要性は、治療可能な疾患の見落としを避けること、強い伝染力のある感染症の場合に適切な隔離処置を講ずること、また不必要な治療や隔離を避けることも必要なためです。

徳島新聞2011年5月18日掲載

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