徳島県小児科医会 日浦恭一
食物アレルギーの原因食物は年齢によって異なります。乳児期によく見られる原因食物は多い順に卵、牛乳、小麦、大豆、ピーナッツ、ゴマ、魚、肉です。
学童や成人に見られるアレルギーの原因食物はエビ・カニなど甲殻類、魚類、小麦、卵、ソバ、貝、果物、ナッツ類の順となります。
食物アレルギーの症状の出かたはその時の体調によって異なることがあります。同じ食物であっても初めて摂取した時と過去に何度か摂取したことがある時とでは症状の出かたが異なります。加熱、非加熱の違いや摂取量の違いも大切です。わずかな量では症状が出なくても多く摂取すると症状が表れることがあります。
食物アレルギーを考える場合に食物以外の状況を明らかにしておくことが大切です。運動との関係、同時に使用していた薬剤、イヌやネコなどペット、植物やゴム製品との接触の有無を確認しておきます。
さらに本人および家族のアレルギーの有無も大切です。食物アレルギー、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、花粉症、薬剤アレルギーの有無を確認しておくことは大切な鑑別点になります。
食物アレルギーでは原因食物も症状も年齢とともに変化する可能性がありますから食物除去などの治療も変更します。アナフィラキシーなど重症の食物アレルギーは専門医に相談する必要がありますが、成長にともなって治療内容を見直すことも必要です。
徳島新聞2010年10月27日掲載