徳島県小児科医会 日浦恭一
不活化ワクチンによる副反応は接種部位の異常やアレルギーを介した全身の反応が主なものです。不活化ワクチンには生きたウィルスは入っていませんからワクチン接種によって元の感染症が発病することはありません。
これに対して生ワクチンによる副反応は、弱毒化されたウィルスが体内で増殖して発病し治癒する過程で免疫を獲得しますから、発病にともなう症状が現れることがあります。その症状は自然にかかった場合よりも軽く済みますが、基本的には元の感染症の持つ症状と同じものです。
生ワクチンによる副反応は局所の異常やアレルギー反応は弱く、したがって接種直後に見られる異常反応はわずかなものです。
麻しんワクチンに見られる発熱や発疹は麻しん発病にともなう症状です。約1週間程度の潜伏期間の後に発病するわけです。症状の多くは軽く1~2日程度で消失しますが、中には熱性けいれんを起こすこともあります。それまでに何回も熱性けいれんを起こした子どもには予防処置の準備をしておく必要があります。
予防接種の副反応をゼロにすることは不可能ですが、副反応を出来る限り減少させることはできます。そのためには子どもの体質を最もよく知るかかりつけの小児科医が接種することが大切です。
徳島新聞2010年1月27日掲載